在留資格「特定技能」
特定技能の届出は誰が出すのか──登録支援機関に委託していても、受入れ企業自身が出す届出
公開 2026.08.26 / 最終確認 2026.08.26
- 根拠
- 出入国管理及び難民認定法第19条の18(随時届出は第1項、定期届出は第2項)
- 対象
- 特定技能所属機関(特定技能外国人を受け入れている企業・個人事業主)
- 期限
- 随時届出は事由が生じた日から14日以内/定期届出は5月31日まで
- 確認日
- 2026年8月26日時点
特定技能外国人を受け入れると、受入れ企業には出入国在留管理庁への届出義務が生じます。届出は定期届出と随時届出の2種類で、根拠は入管法第19条の18です。
この記事は、分野別の要件には立ち入らず、分野を問わず共通する届出義務に絞って整理します。分野別の上乗せ基準は別の話です。
随時届出は、登録支援機関が代わりに出すことができない
まずここです。入管庁は、特定技能所属機関による随時届出について、受入れ企業または個人事業主自身が届け出る必要があるとしたうえで、外国人への支援実施のために登録支援機関と委託契約を締結していても、登録支援機関が届出を行うことはできないと明記しています。
支援を全部委託していても、届出義務そのものは移りません。支援の委託と、届出の名義は別のものとして扱われています。
届出書の作成を委任できる相手:随時届出Q&Aでは、届出書の作成は、行政書士法等の法令に基づき他人の依頼を受けて報酬を得て官公署へ提出する文書を作成することが認められている者、すなわち行政書士または弁護士の身分を有する方に委任することができるとされています。そのうえで、これら以外の者に委任することは、行政書士法等に抵触するおそれがあるほか、適正な届出が履行されていないとみなされると記載されています。委任した場合は、委任関係を証明する資料として委任状を提出します。
随時届出は6種類ある
随時届出Q&Aは、入管法第19条の18第1項が規定する随時届出として次の6つを挙げています。
| 届出の種類 | 参考様式 |
|---|---|
| 特定技能雇用契約に係る届出(変更・終了・新たな締結) | 第3-1-1号/第3-1-2号 |
| 支援計画の変更に係る届出 | 第3-2号 |
| 支援委託契約に係る届出(締結・終了・変更) | 第3-3-1号/第3-3-2号 |
| 受入れ困難に係る届出 | 第3-4号 |
| 特定技能基準省令の基準不適合に係る届出 | 第3-5号 |
| 1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出 | 第3-7号 |
いずれも、届出事由が生じた日から14日以内に提出します。
このうち、様式の使い分けや添付書類でつまずきやすい2つは、個別に整理しています。委託先の変更・終了は支援委託契約に係る届出(第3-3-1号と第3-3-2号の使い分け)を、退職・行方不明・休業などで受入れが続けられなくなったときは受入れ困難に係る届出(事由で変わる説明書)をご覧ください。
14日の数え方には、Q&Aで示された注意点がある
期限の運用について、随時届出Q&Aは次の点を明示しています。
- 郵送でも、14日以内に到達している必要があります。消印ではありません。
- 未来の日付を届出事由発生日とする届出は提出できません。
- 雇用契約の変更における「変更年月日」は、契約の内容に変更(効力)が生じた日です。Q&Aでは、9月1日に「10月1日から賃金を○○円にする」という内容の契約変更を締結した場合、変更年月日は10月1日になり、届出は10月1日から14日以内に提出する、という例が挙げられています。
契約書を交わした日ではなく、効力が生じた日から数える、という整理です。
なお、特定技能制度における届出は、電子届出システムでも行えます。入管庁は、インターネットを通じて行うことができる届出について、入管法が定める特定技能所属機関および登録支援機関が行う全ての届出としています。利用には事前の利用者情報登録が必要で、所定の様式を最寄りの地方出入国在留管理局・支局の窓口に提出するか郵送します。
入管庁は2026年4月28日に、特定技能所属機関向けとして、オンラインで定期届出を行う方法を解説した動画を公開しています。
提出方法の選択には、もうひとつ効いてくる点があります。運用要領は、届出を地方出入国在留管理局へ持参または郵送で提出することも可能としたうえで、その場合は在留諸申請および届出における提出書類の省略を認める機関ではなくなると記載しています。さらに、令和8年4月1日以降に提出する定期届出については、オンライン申請および電子届出を行うことが、適格性書類の提出の省略が認められる必須要件になるとされています。到達で判断される郵送との比較にとどまらず、提出書類の量にも関わってくる部分です。
定期届出は、2026年4月から年1回になった
入管庁は、令和8年4月1日から定期届出のルールが大幅に変更されたことを案内しています。従来は四半期ごとでしたが、年1回になりました。四半期ごとの定期届出は2025年4月15日までに提出するもので最後とされ、次回の提出は2026年4月以降となりました。
- 対象期間:4月1日から翌年3月31日
- 提出期間:翌年5月31日までに提出(5月31日が土日祝日の場合は翌開庁日)
- 届出者:特定技能所属機関
登録支援機関に支援の全部の実施を委託している場合についても、入管庁は、登録支援機関による支援実施状況も取りまとめて、併せて提出する必要があるとしています。定期届出の提出自体は特定技能所属機関が行うこととされており、登録支援機関は必要な書類等を特定技能所属機関に提供する立場です。
あわせて入管庁は、特定技能所属機関から登録支援機関による支援状況が提出されない場合、登録支援機関の登録が取り消されることがあるとしています。受入れ企業側の提出漏れが、委託先にも及ぶ構造です。
Q&Aで切り分けが示されている場面
どの届出が要るのか要らないのかは、Q&Aに具体例があります。いくつか挙げます。
自己都合退職のとき。特定技能外国人が自己都合により退職する場合、受入れ困難に係る届出は必要なく、特定技能雇用契約の終了に係る届出のみでよいとされています。一方、自己都合でない事由の場合は、契約終了が見込まれる事由(解雇の予告等)が発生した時点で受入れ困難に係る届出を提出し、その後実際に契約が終了したら、終了日から14日以内に終了の届出を提出する、という順序が示されています。
在留期間更新の申請をしたとき。更新申請にあたって労働条件を見直し、新たな特定技能雇用契約を締結した場合、申請時に改定後の雇用条件書を提出していても、届出は別に必要とされています。Q&Aは、在留期間更新許可申請を行う者は外国人本人であることから、申請時に提出された書類をもって特定技能所属機関に課された届出義務が履行されたことにはならない、と説明しています。
会社の名称や住所が変わったとき。特定技能雇用契約の変更に係る届出は必要ないとされています。ただしこの場合、特定技能外国人本人から、所属(契約)機関の名称変更・所在地変更の届出(入管法第19条の16第2号)を提出する必要があるため、提出を促すよう案内されています。会社側の届出と本人側の届出が別建てになっている場面です。本人側の届出については、技人国の更新で足をすくわれる「届出」でも整理しています。
雇用契約期間を短くしたとき。当初の雇用契約期間から1日でも短くした場合は届出が必要とされています。
なお、雇用契約の変更内容が「軽微な変更」である場合は届出が不要とされています。Q&Aは軽微な変更を、報酬または労働条件以外の変更であって特定技能雇用契約に実質的な影響を与えない変更、と説明しています。具体例は運用要領第7章第1節第1の別表を確認するよう案内されており、別表に記載されている例以外にも届出が必要になる場合があるとも書かれています。個別の判断は別表に当たる必要があります。
届出を行わなかった場合
Q&Aは、届出を行わなかった場合または虚偽の届出をした場合について、一定期間、特定技能雇用契約の締結ができない場合があるだけでなく、罰金刑や過料(入管法第71条の4第1号または第77条の2)に問われる可能性がある、としています。
この「一定期間」の根拠は、特定技能基準省令第2条第1項第4号リです。入管庁の運用要領はこの条文を、特定技能雇用契約の締結の日前5年以内またはその締結の日以後に、掲げられた行為その他の出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者、と引用しています。掲げられた行為の一つに、入管法第19条の18の規定による届出をせず、または虚偽の届出をする行為が含まれています。
届出漏れが直ちに5年の欠格になるわけではありません。運用要領は、出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為については、個別具体的な事案の重大性に応じて該当性が判断されるとしています。届出の不履行として挙げられている例は、特定技能外国人が行方不明になったにもかかわらず届け出ず、地方出入国在留管理局による摘発などで初めて明らかになった場合や、届出を履行するよう再三指導を受けたにもかかわらず履行しない場合などです。
また入管庁は、特定技能所属機関からの届出が適正に履行されていない場合、特定技能外国人を受け入れることができなくなるとしています。
14日を過ぎてしまった場合:Q&Aは、14日以内に提出できなかった場合でも届出書を提出することは可能であり、速やかに提出するよう案内しています。その際、届出が遅延した理由を説明する文書を必ず添付することとされています。
もうひとつ、期間の経過に関わる点として、特定技能の在留資格で在留している間に発生した事由については、その後すでに他の在留資格に変更している場合や、すでに出国している場合であっても届出が必要とされています。
提出先
随時届出Q&Aは、届出書の提出先を、特定技能所属機関の住所(法人の場合は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局または同支局としています。外国人本人の住所ではなく、会社の所在地が基準です。神奈川県内に本店がある場合の窓口については、横浜入管はどこに行けばいいかで整理しています。
定期届出については、入管庁が「定期届出でよくある誤り集」という資料を公開しています。参考様式第3-6号(別紙2)の要否など、提出方法によって変わる部分を定期届出で入管庁が挙げている4つの誤りで整理しています。
定期届出の書き方については受入れ・活動・支援実施状況に係る届出の書き方で、参考様式第3-6号と別紙の役割を整理しています。
受入れ企業が在留カードの提示を受ける場面についても、2026年6月14日から券面の記載事項が変わっています。在留カードの新様式をご覧ください。
登録支援機関に委託せず自社で支援を行う場合、受入れ機関の側が支援体制の基準を満たす必要があります。自社支援の要件で整理しています。
まとめ
- 届出は定期届出と随時届出の2種類。根拠は入管法第19条の18
- 随時届出は、登録支援機関に支援を全部委託していても、登録支援機関が代わりに行うことはできない
- 届出書の作成を委任できるのは、行政書士または弁護士。それ以外への委任は、適正な届出が履行されていないとみなされる
- 随時届出は6種類、いずれも事由が生じた日から14日以内。郵送は消印ではなく到達で判断される
- 定期届出は2026年4月から年1回。対象期間は4月1日から翌年3月31日、提出は翌年5月31日まで
- 登録支援機関の支援実施状況も、特定技能所属機関が取りまとめて提出する
- 届出をせず、または虚偽の届出をする行為は、特定技能基準省令第2条第1項第4号リの5年の欠格事由に掲げられた行為の一つ。ただし該当性は個別具体的な事案の重大性に応じて判断される
本記事は確認日時点の一般的な整理です。個別の事案では、契約内容の変更がどの項目に当たるか、どの届出と組み合わせて提出するかによって扱いが変わります。運用要領の別表に当たったうえでの判断が必要な場面が多いため、判断に迷われる場合は、状況を伺ったうえでお答えします。
なお、入管への届出とは別に、市区町村へ提出する協力確認書があります。在留諸申請を行う前までに提出するものです。
受入れの前には協議会への加入も必要です。入会証明書がないと在留諸申請が許可されません。
在留期間の満了が近い場合は、特定技能の在留期間更新もあわせてご確認ください。更新申請と届出は別の手続きです。
技能実習からの移行を扱ってきた企業は、育成就労制度への切替えもあわせてご確認ください。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html - 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001386304.pdf - 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和7年4月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf