TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留資格「特定技能」

特定技能の定期届出はどう書くか──受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(参考様式第3-6号)と、別紙1・別紙2の役割

根拠
出入国管理及び難民認定法第19条の18第2項第1号・第2号・第3号、同法第19条の30第2項
提出期間
届出対象年度の翌年度の4月1日〜5月31日
対象
特定技能所属機関(登録支援機関は特定技能所属機関を経由して届出)
確認日
2026年9月10日時点

特定技能の定期届出は、正式には「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出」といい、参考様式第3-6号を使います。2026年4月1日から四半期ごとではなく年1回になりました。入管庁が「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」を公表しており、各欄の記載要領が整理されています。この記事はその内容を整理します。

入管庁が挙げている誤りについては定期届出で入管庁が挙げている4つの誤りで、届出の全体像は特定技能の届出は誰が出すのかで扱っています。

提出が不要な場合があります

作成要領は、次の場合について提出は不要としています。

  • 特定技能所属機関が倒産・廃業しており、届出書の作成・提出ができない場合
  • 届出対象期間(前年4月1日から当年3月31日)中に特定技能外国人の受入れを行っていない場合

一方で、受け入れた期間が1日しかなくても提出は必要とされています。作成要領は、当年3月31日に特定技能外国人を受け入れた場合、当年4月1日から5月31日までに定期届出を提出するという例を挙げています。

「受入れ開始日」は雇用契約の開始日ではありません

ここが最初の分かれ道です。作成要領は、受入れ開始日について次のとおりとしています。

受入れ開始日は、特定技能雇用契約の開始日にかかわらず、原則として「特定技能」の在留資格で上陸許可を受けた日、または在留資格変更許可を受けた日となります。

入社日ではなく、許可を受けた日が基準です。したがって、許可が3月中に出ていて入社が4月からという場合でも、届出対象期間に含まれることになります。

あわせて作成要領は、提出日が5月1日であった場合、同年4月1日以降に許可を受けた特定技能外国人については届出の対象から除外するとしています。

人数の数え方

報告対象特定技能外国人数について、作成要領は次の考え方を示しています。

場面数え方
期間の途中で新規受入れ・退職があった受け入れていた時期が対象期間内であれば、それぞれ1名として計上
期間中に雇用契約を終了し、同じ人を再度雇用した1名として計上
期間中に1号から2号へ変更許可を受けた2号の人数として計上し、1号には計上しない

1号から2号への変更については注意点があります。作成要領は、1号を0人と記載することになる場合でも、届出対象期間内における1号特定技能外国人への支援実施状況に関する報告は必要であり、別紙1を作成する必要があるとしています。

また、2号特定技能外国人も届出の対象です。受け入れているすべての1号が2号への変更許可を受け、1号の受入れがなくなったとしても定期届出は必要とされています。ただし2号に対する支援義務はないため、2号の受入れしかない場合は支援実施状況に係る記載は不要とされています。

平均値の算出でつまずきやすい点

労働条件等の欄は月平均で記載します。作成要領が示している考え方です。

  • 月の途中で受入れを開始または終了した場合は、その月は含めずに平均値を算出する
  • 休業を行った月は、休業日があった月も含めて平均値を算出する。1か月完全に休業となった月も含める
  • 対象期間における雇用期間が1か月未満となる場合は、(1)〜(6)に0を記載し、備考欄に「1か月未満」と記載する

実労働日数については、有給休暇を取得し全く就労していない日や休業日は含まれず、短時間休業で1時間でも就労を行った日、休日労働を行った日は含まれるとされています。

期間中に2号へ移行した外国人がいる場合、作成要領は、変更許可を受けた月(月の途中であれば翌月)以後の状況を2号の欄に記載するとしています。9月15日に変更許可を受けた例では、9月分までの状況は記載せず、10月分以降の平均値を算出するとされています。

入管庁が挙げている「よくある間違い」

作成要領には「よくある間違い」として、いくつかの例が挙げられています。以下は同要領の記載であり、当事務所が観察した傾向ではありません。

超過労働給与額について。時間外手当分を記載する際に割増分(0.25倍部分)にあたる金額のみを記載している例、または所定労働時間内に深夜労働を含めている例が挙げられ、割増分のみでなく時間外手当分全額(1.25倍分の金額)を記載するよう案内されています。

手当の名称について。①から④以外の手当を支給している場合に、①から④の手当名を修正してその金額を記載している例が挙げられ、手当名の修正はせず、「(4)きまって支給する現金給与額」にその金額を含めて記載するよう案内されています。

昇給率について。2つ挙げられています。

状況誤り正しい記載
前々年度から昇給していない100%0%
算出した昇給率が5%105%5.0%

作成要領は、昇給率100%とは前々年度から前年度で2倍となっていることを意味する、としています。

要領の記載例から算出方法を逆算すると、(前年度の額 − 前々年度の額)÷ 前々年度の額 × 100 という形になります。分子が「差額」なので、昇給がなければ差額が0となり、昇給率も0%になる、という関係です。なお、ここでいう額は「(4)きまって支給する現金給与額」から「①うち超過労働給与額」〜「④うち家族手当」を除いた額とされています。

なお昇給率の記載は、届出書作成年度の4月1日時点で、同一の特定技能所属機関において同一の在留資格で継続して2年以上同一の特定技能外国人を受け入れている場合に必要とされています。作成要領は、合計で2年以上在籍していても1号と2号のいずれでも2年以上の受入れが継続していない場合は記載の必要がない、という例を挙げています。在留資格ごとに見るという点に注意が必要です。

数値の丸め方も分かれています。(1)実労働日数から(6)控除額までは小数点第1位を四捨五入して整数値、(7)昇給率は小数点第2位を四捨五入して小数点第1位までとされています。

署名欄は誰が書くか

作成要領は、「本届出書作成者(特定技能所属機関)」欄について、登録支援機関へ支援の実施を委託している場合でも、この欄には登録支援機関の方は署名できないとしています。

「本届出書作成者(登録支援機関)」欄は、支援の実施の全部を委託している場合のみ記載が必要です。複数の登録支援機関に全部委託している場合は、この欄に「別紙のとおり」と記載し、すべての委託先の署名を受けた別紙2を作成して添付するとされています。

電子届出システムを利用する場合については、特定技能所属機関のアカウントでログインして提出することになるため、委託先の署名は別紙2に受けたうえで、スキャンした電子データを添付する形で行うとされています。

別紙1と別紙2の役割

様式内容作成の単位
第3-6号受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(本体)本社が1つ作成
第3-6号(別紙1)特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況事業所ごとに作成
第3-6号(別紙2)届出書の署名欄委託先の登録支援機関の署名

別紙1は事業所ごとに作成し、特定技能所属機関(いわゆる本社)がすべての別紙1を取りまとめて添付します。一方、届出書本体は複数事業所分を本社がまとめて一つとして作成・提出します。作成要領は、事業所ごとに届出を作成・提出することのないよう注意を促しています。

また、別紙1の「報酬の支払方法」欄で「それ以外の方法」にチェックしている場合、報酬支払証明書(参考様式第5-7号)を提出する必要があるとされています。預貯金口座への振り込み以外の方法で報酬を支払っている場合が該当します。

支援の実施状況の選び方

「自社支援のみ」か「支援の全部委託あり」のいずれかを選択します。作成要領は次のように整理しています。

  • 支援計画の一部のみを委託している場合は「自社支援のみ」を選択する
  • 複数の1号特定技能外国人を受け入れていて、一部は自社支援または一部委託であっても、1人以上について全部委託をしている場合は「支援の全部委託あり」を選択する

登録支援機関を途中で変更した場合

作成要領は具体的な例を挙げています。7月15日に委託先の登録支援機関を変更し、さらに10月15日に自社支援に切り替えた場合、次のように取りまとめて1年分として提出するとされています。

  • 4月1日〜7月14日分:それまでの登録支援機関による支援実施状況
  • 7月15日〜10月14日分:新たな登録支援機関による支援実施状況
  • 10月15日以降:特定技能所属機関が自ら支援実施状況を記載

添付書類と「一定の基準」

作成要領は、特定技能所属機関に関する書類として、誓約書(参考様式第5-16号または第5-17号)、特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)、登記事項証明書(法人のみ)、業務執行に関与する役員または個人事業主の住民票の写し、労働保険料・社会保険料の納付に係る資料、納税証明書(その3)、直近1年度分の法人住民税または個人住民税の納付に係る資料などを挙げています。

そのうえで、一定の基準を満たすことがわかる書類を提出することで、これらの書類の提出を省略することが可能としています。ただし地方出入国在留管理局から提出を求められた場合は提出する必要があるとされています。

一定の基準は、過去3年間に指導勧告書の交付または改善命令処分を受けていないこと、在留諸申請をオンライン申請・各種届出を電子届出で行うこと、そして一定の実績があり適正な受入れを行うことが見込まれる機関(①から⑥のいずれか)であることです。詳細は定期届出で入管庁が挙げている4つの誤りで整理しています。

作成要領は、届出の提出方法について電子届出を推奨するとしたうえで、その理由として、電子届出による提出が定期届出における添付書類の一部の省略が認められるための条件の一つになっていることを挙げています。電子届出には事前の利用者登録が必要です。

提出しなかった場合

作成要領は、定期届出が提出されない場合や、定期届出で提出された書類等から特定技能所属機関としての基準を満たしていないことが判明し、これが改善されない場合は、特定技能外国人の受入れは原則認められないこととなるとしています。

自社支援を行う場合の基準については自社支援の要件をご覧ください。

まとめ

  • 提出期間は届出対象年度の翌年度の4月1日〜5月31日
  • 倒産・廃業の場合、対象期間中に受入れがない場合は提出不要。1日でも受入れがあれば必要
  • 受入れ開始日は雇用契約の開始日ではなく、上陸許可または在留資格変更許可を受けた日
  • 1号から2号へ変更した場合は2号として計上。ただし1号への支援実施状況の報告は必要
  • 月の途中で開始・終了した月は平均値に含めない。休業月は含める
  • 昇給率は、昇給なしなら0%、5%なら5.0%と記載する
  • 届出書本体は本社が1つ、別紙1は事業所ごとに作成して本社が取りまとめる
  • 「本届出書作成者(特定技能所属機関)」欄に登録支援機関は署名できない

本記事は確認日時点で入管庁が公表している作成要領の整理です。届出内容によって追加で書類を求められることがあるとされているため、実際の作成にあたっては同要領と提出資料一覧表をご確認ください。

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