在留資格「特定技能」
特定技能の自社支援の要件──過去2年の実績と、支援責任者に選べない人
公開 2026.09.10 / 最終確認 2026.09.10
- 根拠
- 特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第2条第2項/出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和7年4月)
- 対象
- 1号特定技能外国人を受け入れる、または受け入れようとする企業・個人事業主
- 関係する場面
- 登録支援機関に委託せず、自社で支援を行う場合
- 確認日
- 2026年9月10日時点
1号特定技能外国人を受け入れる企業には、支援計画を作成して支援を行う義務があります。この支援は登録支援機関に委託することもできますし、自社で行うこともできます。ただし自社で行う場合、受入れ機関の側が支援体制の基準を満たす必要があります。
登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、この基準を満たしたものとみなされます。逆に言えば、一部だけ委託する場合や自社だけで行う場合は、以下の基準を自ら満たさなければなりません。
委託契約についての届出は特定技能の届出は誰が出すのかで、届出の全体像とあわせて整理しています。
3つのうち、いずれかに当てはまること
運用要領は、次のいずれかに該当することを求めています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| イ | 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、役員または職員の中から支援責任者と支援担当者を選任していること |
| ロ | 役員または職員であって、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有する者の中から、支援責任者と支援担当者を選任していること |
| ハ | イまたはロと同程度に支援業務を適正に実施できる者として認められ、役員または職員の中から支援責任者と支援担当者を選任していること |
支援担当者は事業所ごとに1名以上必要です。支援責任者は支援担当者を兼ねることができますが、運用要領は、その場合であっても双方の基準に適合しなければならないとしています。
「中長期在留者」の範囲
イの実績でいう中長期在留者は、入管法別表第1の1の表、2の表および5の表の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行うことができるものに限る)をもって在留する者とされています。就労できる在留資格の外国人、ということになります。
運用要領は「受入れまたは管理を適正に行った」について、少なくとも1名以上の受入れまたは管理を行っており、その間、入管法・技能実習法・労働関係法令といった外国人の受入れまたは管理に関連する法令を遵守していることをいうとしています。
あわせて、次の場合は法令を遵守しているとは認められないとされています。
- 雇用する中長期在留者に対して賃金の不払がある場合
- 雇用契約の不履行に関し違約金契約を締結している場合
- 技能実習制度における実習実施者である場合に、技能実習法第15条に規定する「改善命令」または外国人技能実習機構から「改善勧告」を受けている場合
設立されたばかりの法人は注意が必要です。運用要領は、これまでの在籍者が設立者である代表者の中長期在留者のみという形態の法人(いわゆる一人親方。個人事業主も同様)については、第三者の受入れまたは管理を適正に行った実績とは認められないとしています。要件を満たすには、他に外国人労働者の雇用等をする必要があるとされています。
なお、特定技能所属機関として1号特定技能外国人を雇用した実績や、委託によらず自社支援により義務的な支援を適正に実施した実績についても、それぞれ受入れまたは管理を行ったものと認められるとされています。
「生活相談業務」の範囲
ロの経験でいう生活相談業務について、運用要領は、1号特定技能外国人に対して求められる支援のうち生活に必要な契約に係る支援、生活オリエンテーション、定期的な面談として行う内容に関するものなどをいうとしています。
そのうえで、範囲の外にあるものが2つ示されています。
| 該当しないとされているもの | 理由として示されている内容 |
|---|---|
| 職業紹介事業者が外国人労働者に求人情報を紹介する行為のみ | それのみをもっては生活相談業務とはいえない |
| 個人的な人間関係に基づき行う相談(ボランティア活動を含む) | 業務として行われたことが必要であるため、実績とはいえない |
相談内容や件数を限定するものではないとされていますが、「業務として行われたこと」が要件という整理です。
支援責任者と支援担当者は、誰を選ぶか
ここが実務で一番つまずきやすいところだと思われます。
支援責任者は、特定技能所属機関の役員または職員(常勤であることを問わない)であり、支援担当者を監督する立場にある者とされています。次の事項について統括管理することが求められます。
- 1号特定技能外国人支援計画の作成に関すること
- 支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理に関すること
- 支援の進捗状況の確認に関すること
- 支援状況の届出に関すること
- 支援状況に関する帳簿の作成及び保管に関すること
- 制度所管省庁、業所管省庁その他関係機関との連絡調整に関すること
- その他支援に必要な一切の事項に関すること
支援担当者は、役員または職員であり、支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者。運用要領は、この役職員は常勤であることが望まれるとしています。1人の支援担当者が複数の1号特定技能外国人の支援を行うことも可能です。
代表取締役は支援責任者になれません
支援の中立性について、省令は、支援責任者および支援担当者が外国人を監督する立場にない者その他の支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であることを求めています。
運用要領は、これを次のように説明しています。
1号特定技能外国人と異なる部署の職員であるなど、当該外国人に対する指揮命令権を有しない者をいい、異なる部署であっても、当該外国人に実質的に指揮命令をし得る立場にある者は含まれません。したがって、形式上異なる部署の職員であっても、代表取締役、当該外国人が所属する部署を監督する長(例えば、外国人の所属部署が製造課である場合の製造部長)など、組織図を作成した場合に縦のラインにある者は適格性がないこととなります。
「異なる部署だから大丈夫」とはならない、という点が重要です。組織図を書いて、縦のラインに入るかどうかで判断するという整理になっています。
判断にあたっては、このほか事業形態や、外国人を監督する立場にある者と支援責任者・支援担当者との関係性などが考慮要素として挙げられています。
あわせて、支援責任者および支援担当者は、特定技能基準省令第2条第1項第4号イからルまでの欠格事由のいずれにも該当しない者であることも求められています。
言語の体制は、通訳を雇う必要まではありません
省令は、支援を外国人が十分に理解することができる言語によって行うことができる体制を求めています。
運用要領は「十分に理解することができる言語」について、特定技能外国人の母国語には限られないが、内容を余すことなく理解できるものとしています。
そのうえで、適切な相談体制について、通訳人を特定技能所属機関の職員として雇い入れることまでは必要なく、必要なときに委託するなどして通訳人を確保できるものであれば足りるとされています。
そのほかの基準
支援の実施状況に係る文書を作成し、支援を行う事業所に特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこと。書面に代えて電磁的記録による作成・保存も認められています。
定期的な面談を実施できる体制があること。支援責任者または支援担当者が、外国人本人とその監督をする立場にある者の双方と面談します。運用要領は「定期的な面談」を3か月に1回以上の頻度で行うものとしています。派遣形態の場合は、派遣先の監督的立場にある者との面談が必要です。
支援実施義務を怠ったことがないこと。特定技能雇用契約の締結の日前5年以内またはその締結の日以後に、支援計画に基づいた支援を怠ったことがないことが求められます。
提出する書類
どの区分で要件を満たすかによって、確認対象の書類が変わります。
| 区分 | 確認対象の書類 |
|---|---|
| 共通 | 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号) |
| イに該当する場合 | 受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号) |
| ロに該当する場合 | 支援責任者の履歴書(第1-20号)/支援担当者の履歴書(第1-22号)/生活相談業務を行った中長期在留者リスト(第1-11-3号) |
| ハに該当する場合 | ハに該当することの説明書および記載内容に係る立証資料 |
なお、ロに該当するとして基準を満たした場合で、その後、実際に外国人を受け入れるまでに支援責任者または支援担当者を変更するときには、新たな支援責任者等についてもロ(または他の要件)に該当していることが必要とされています。
一部だけ委託する場合
支援計画の一部の実施を委託することもできます。ただしその場合、受入れ機関は自社支援の基準を満たしている必要があります。
運用要領は、一部委託の場合において、「定期的な面談の実施、行政機関への通報」については第三者への委託が認められないとしています。
また、支援計画の全部の実施を委託する場合、複数の登録支援機関に委託することはできません。全部委託によって受入れ機関が基準に適合するものとみなされる仕組みであるためです。ただし受入れ機関が自社支援の基準を満たしている場合には、その責任の下で複数の第三者に委託することができるとされています。
まとめ
- 自社支援には、イ(過去2年の受入れ実績)、ロ(過去2年の生活相談業務の経験)、ハ(同程度と認められるもの)のいずれかが必要
- 支援担当者は事業所ごとに1名以上。支援責任者との兼任は可能だが、双方の基準を満たすこと
- いわゆる一人親方・個人事業主は、第三者の受入れ実績とは認められない
- 職業紹介事業者の求人紹介のみ、ボランティアでの相談は、生活相談業務の実績にならない
- 代表取締役や所属部署を監督する長は、支援責任者・支援担当者になれない(組織図の縦のライン)
- 通訳人は雇用まで不要。必要なときに委託して確保できれば足りる
- 定期的な面談は3か月に1回以上。本人と監督者の双方に行う
- 支援の実施状況に係る文書は、契約終了の日から1年以上備え置く
本記事は確認日時点で入管庁が公表している運用要領の整理です。ハに該当するか否かは提出資料に基づき個別に判断されるとされているため、判断に迷われる場合は、状況を伺ったうえでお答えします。
令和9年4月1日からは、支援責任者等を事業所ごとに常勤の役職員から選任するなど要件が改正されます。特定技能の支援体制が2027年4月に変わるで整理しています。
登録支援機関に委託する場合との違いは、支援は登録支援機関にどこまで委託できるかで整理しています。全部委託なら支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
支援責任者・支援担当者が実施する定期面談については特定技能の定期面談で整理しています。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和7年4月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf - 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html