在留資格「特定技能」
特定技能の支援は登録支援機関にどこまで委託できるか──全部委託と一部委託の違い
公開 2026.09.12 / 最終確認 2026.09.12
- 根拠
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」/入管法第2条の5第6項
- 対象
- 1号特定技能外国人を受け入れる(受け入れようとする)機関
- 要点
- 全部委託なら支援体制の基準を満たしたものとみなされる
- 確認日
- 2026年9月12日時点
特定技能外国人を受け入れる企業は、支援計画を作成し、それに基づいて支援を行う義務があります。この支援業務は、登録支援機関に全部または一部を委託することができます。
この記事では、どこまで委託できるのか、全部委託と一部委託で何が変わるのかを、入管庁の公表内容から整理します。
まず、委託できるのは「支援計画の実施」
入管庁は、1号特定技能外国人を受け入れる受入れ機関について、1号特定技能外国人支援計画を作成し、当該計画に基づいて支援を行わなければならないとしたうえで、支援計画の実施は、受入れ機関が行うほか、登録支援機関に委託して実施することもできるとしています。
委託できるのは実施であって、義務そのものではありません。支援計画は在留申請時に提出する必要があり、変更があった場合は届出が必要とされています。委託しても、受入れ機関が負う義務がなくなるわけではない、という構造です。
義務的支援10項目
支援計画の主な記載事項は、支援責任者の氏名及び役職等、登録支援機関(委託する場合のみ)、そして次の10項目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1 事前ガイダンス | 雇用契約締結後、認定証明書交付申請前又は変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等を対面・テレビ電話等で説明 |
| 2 出入国する際の送迎 | 入国時は空港等と事業所又は住居への送迎、帰国時は空港の保安検査場までの送迎・同行 |
| 3 住居確保・生活に必要な契約支援 | 連帯保証人になる・社宅を提供する等。銀行口座の開設、携帯電話やライフラインの契約等の案内・補助 |
| 4 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明 |
| 5 公的手続等への同行 | 必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助 |
| 6 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等 |
| 7 相談・苦情への対応 | 外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等 |
| 8 日本人との交流促進 | 自治会等の地域住民との交流の場、地域の行事の案内や参加の補助等 |
| 9 転職支援(人員整理等の場合) | 受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝い、推薦状の作成等。求職活動のための有給休暇の付与、必要な行政手続の情報提供 |
| 10 定期的な面談・行政機関への通報 | 支援責任者等が外国人及びその上司等と3か月に1回以上面談し、労働基準法違反等があれば通報 |
9の転職支援は「受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合」です。本人の自己都合による転職ではなく、人員整理等の場面を指しています。委託の範囲を検討する際、どの場面で発生する支援なのかを押さえておくと、費用の見積もりも判断しやすくなります。
全部委託と一部委託──ここが最大の違い
入管庁は次のように示しています。
- 受入れ機関は、支援業務について登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託することもできる
- 登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされる
| 委託の形 | 受入れ機関の支援体制の基準 |
|---|---|
| 全部委託 | 満たしたものとみなされる |
| 一部委託 | みなし規定の対象ではない(自社で基準を満たす必要がある) |
| 委託しない(自社支援) | 自社で基準を満たす必要がある |
ここが実務上いちばん大きな分岐です。「10項目のうち負担の重いものだけ外に出す」という発想で一部委託にすると、みなし規定は働かないため、受入れ機関側で支援体制の基準を満たす必要が残ります。自社で基準を満たせるかどうかが前提条件になります。
自社支援で求められる要件(過去2年の実績、支援責任者・支援担当者の選任など)は特定技能の自社支援の要件で整理しています。
登録支援機関は「一部だけ」では登録できない
委託先側の話ですが、範囲を考えるうえで関係します。入管庁は、登録を受けるための基準として支援計画の全部を実施できる必要があり、支援の一部のみを行うものとして登録を受けることはできないとしています。
つまり、登録支援機関として登録されている以上、10項目すべてを実施できる体制があるということです。委託先を選ぶ際の前提として押さえておく点です。
登録支援機関は再委託できない
入管庁は、登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施を更に委託することはできないと明記しています。委託先がさらに別の機関へ流す、という形は認められていません。
登録支援機関を選ぶときに確認できること
登録支援機関になるには、受入れ機関と業務委託のための契約を結び、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録を受けた機関は登録支援機関登録簿に登録され、入管庁のホームページに掲載されます。
登録の基準は次の2点です。
- 機関自体が適切であること:法令等を遵守し「禁錮以上の刑に処せられた者」などの欠格事由に該当しないこと
- 外国人を支援する体制があること:支援計画の全部を実施できること
登録支援機関の義務は、外国人への支援を適切に実施すること、出入国在留管理庁への各種届出を行うことの2点とされています。
登録は5年間有効です。入管庁は、更新を受けなければ登録は効力を失うとし、更新申請は有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに行うよう案内しています。申請手数料は新規登録28,400円、登録更新11,100円です。委託先を選ぶ際、登録の有効期間を確認しておくことができます。
委託したあとに発生する手続き
委託を始めたとき、内容を変えたとき、終了したときは、受入れ機関から入管庁への届出が必要です。使う様式は事由によって分かれます。
手順は支援委託契約に係る届出で整理しています。また、支援の実施状況は定期届出でも報告することになります(受入れ・活動・支援実施状況に係る届出の書き方)。
全部委託にしていても、定期届出を行うのは特定技能所属機関(受入れ企業)自身です。登録支援機関が代わりに提出することはできません。この点は入管庁が挙げている4つの誤りでも整理しています。
まとめ
- 委託できるのは支援計画の実施。全部または一部を登録支援機関に委託できる
- 全部委託なら、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされる
- 一部委託はみなし規定の対象外。自社で支援体制の基準を満たす必要が残る
- 登録支援機関は支援の一部のみを行うものとして登録を受けることはできない
- 登録支援機関は再委託できない
- 登録は5年間有効。更新申請は満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月末まで
- 委託していても、届出義務は受入れ機関にある
本記事は確認日時点で入管庁が公表している内容の整理です。支援計画の基準や登録支援機関の基準の詳細は、特定技能運用要領及び運用要領別冊に記載されていますので、あわせてご確認ください。自社支援と委託のどちらが適しているかは、体制や人数によって変わります。状況を伺ったうえでお答えします。
義務的支援のうち実施頻度が明示されている定期面談については、3か月に1回以上、本人と監督者の両方にで整理しています。
生活に必要な契約支援に含まれる銀行口座の開設については、外国人の銀行口座開設で整理しています。特定技能では給与の口座振込が法令で求められています。
令和9年4月1日から、登録支援機関の支援担当者数を受託規模に連動させる改正が施行されます。委託先の体制の確認は支援体制の改正をご覧ください。
委託先を変更する場合や自社支援に切り替える場合は、支援計画変更に係る届出もあわせて必要になります。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html - 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00201.html