在留手続全般
外国人の銀行口座開設──在留手続きのどこで必要になるか、企業は何を支援するか
公開 2026.09.20 / 最終確認 2026.09.20
- 根拠
- 金融庁「外国人の方の預貯金口座・送金利用について──外国人材の受入れに関わる皆様に知っていただきたい事項のご案内」(2024年9月改訂)
- 名宛人
- 受入れ企業、就学先、登録支援機関、外国人技能実習機構・監理団体など
- 特定技能
- 給与の支払いを預貯金口座振込の方法で行うことが法令により求められる
- 確認日
- 2026年9月20日時点
銀行口座の開設は、行政書士が代理でできる手続きではありません。それでも在留手続きの相談では、頻繁に話題になります。
在留手続きの各場面で、口座が前提になっているからです。この記事では、どの手続きのどこで口座が関わるのかと、金融庁が受入れ企業に求めている支援を整理します。
在留手続きのどこで口座が関わるか
| 場面 | 口座との関わり |
|---|---|
| 特定技能の受入れ | 給与の支払いを預貯金口座振込の方法で行うことが法令により求められる |
| 特定技能の義務的支援 | 支援項目に銀行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設に係る支援が含まれる |
| 経営・管理 | 資本金等の払込みを証する資料が求められる |
| 帰化許可申請 | 預貯金現在高証明書、通帳の写し、取引履歴が提出書類に挙げられている |
| 永住許可申請 | 独立の生計を営むに足りる資産を資料で説明する |
特定技能は「口座振込が原則」です
ここは他の在留資格と扱いが違います。金融庁は次のように案内しています。
特定技能の在留資格で受け入れた外国人の方に対しては、法令により、給与の支払いを預貯金口座振込の方法で行うことが求められております。預貯金口座振込以外の支払い方法をとった場合には、事後に出入国在留管理庁長官に対して、その支払いの事実を裏付ける客観的な資料を提出し、出入国在留管理庁長官の確認を受けることが求められます。
現金で払うと、後から証明が必要になります。単に「望ましい」ではなく、口座振込以外の方法をとった場合の手続きが定められている、という構造です。受入れの初期に口座が開設できていないと、ここで詰まります。
また、義務的支援10項目のうち「住居確保・生活に必要な契約支援」に、銀行口座の開設が含まれています。支援の範囲と委託については支援はどこまで委託できるかで整理しています。
開設時に必要になるもの
金融庁が例として挙げているのは次のとおりです。
| 本人確認書類 | 在留カード、パスポート等の氏名・現住所・生年月日を確認できる書類。在留資格・在留期間を確認する観点から、在留カードの提示が必須となっている金融機関もある |
|---|---|
| 社員証や学生証 | 勤務・就学の証明 |
| 印鑑 | 作成方法の説明も必要。サインによる代替が可能な金融機関もある |
金融庁は、必要書類は金融機関により異なる場合があるとしています。
開設できない場合があることも明記されています。金融機関は、口座開設時および開設後も必要に応じて、住所・氏名・在留資格・在留期間・勤務実態・取引目的等を確認しており、十分な確認が取れない場合、口座が開設できなかったり、開設後の口座が使用できなくなったりすることがあるとされています。
金融機関から確認を求められた場合は協力が必要であることを、本人に説明しておくことになります。
受入れ企業に求められている支援
金融庁は、入国したばかりで日本に不慣れな方にとって、言語や手続きの複雑さが障害になると指摘したうえで、次のような対応を求めています。
- 預貯金口座開設手続きのサポート・窓口への同伴
- 金融機関との会話のサポート(通訳等)
- 勤務・就学の証明
- 印鑑が無い場合は、受入れに関わる皆様が金融機関での手続きに同伴
あわせて、公共料金や通信料金の自動引落し(口座振替)の設定、必要に応じた書類記入やインターネット申込みのサポートも挙げられています。
在留資格が変わったら、金融機関にも手続きが必要です
見落とされやすい部分です。金融庁は、次の場合に金融機関での手続きが必要であることを本人に伝えるよう求めています。
- 住所や在留資格、在留期間が変わったとき
- 退職・退学したとき
- 通帳やキャッシュカードをなくしたとき
入管への届出とは別に、金融機関への連絡も発生します。転職すれば契約機関に関する届出を14日以内に行いますが、それとは別に金融機関にも手続きが要る、ということです。在留資格が変わる場面については技人国で転職したら何をするかで整理しています。
また金融庁は、外国人の方と連絡が取れなくなった場合等、状況に応じて金融機関に連絡するよう受入れ側にも求めています。
帰国するときは解約が必要です
ここは犯罪に直結する部分なので、金融庁が強く注意喚起しています。
帰国する外国人の方が、犯罪行為であるとの認識が薄いまま、小遣い稼ぎ等を目的として預貯金口座(預金通帳・キャッシュカード等)を売却する事例が多発しているとされています。売却された口座は振り込め詐欺等の犯罪収益の受渡しに使用されることがあり、そういった行為に関わると、法令による処罰や、国外退去処分、入国禁止につながる場合があると明記されています。
そのため、在留期間が終わるなどの理由で帰国する場合は、金融機関の窓口に行き、預貯金口座を解約する必要があります(再入国の予定があり引き続き利用が見込まれる場合は、金融機関に相談する必要があるとされています)。
受入れ側に求められている対応として、口座解約の働きかけ(金融犯罪に係る注意喚起を含む)、金融機関と相談するよう助言、金融機関への連絡、口座解約手続きへの同席が挙げられています。
受入れが困難になった場合の届出については受入れ困難に係る届出で整理しています。
犯罪として明示されている4つの行為
金融庁は、受け入れた外国人が絶対に関わらないよう注意喚起を求めるものとして、次を挙げています。
- 預貯金口座の売買・譲渡(通帳やキャッシュカードの売却・譲渡・貸与、インターネットバンキングのログイン情報を教えること)
- 偽造カードへの関与(偽造への関与に加え、偽造されたカードの所持・使用)
- 地下銀行やヤミ金融(必要な免許等や登録を受けずに海外送金サービスを行うこと、登録を受けずに貸金業を行うこと)
- マネー・ローンダリングへの関与
これらは在留資格の審査にも影響します。入管庁の不許可事例では、刑事処分を受けたことにより更新が認められなかったケースが公表されています。
母国への送金について
送金は銀行のほか、金融庁の登録を受けた資金移動業者も取り扱っています。金融庁は、免許等のある銀行等の金融機関や登録等を受けた資金移動業者が行う送金サービス以外は「違法」であるとし、絶対に利用することのないよう注意喚起を求めています。
登録を受けている業者は、金融庁のホームページの一覧で確認できます。また、マネー・ローンダリング対策として送金の目的や原資の確認が行われ、送金に時間が掛かったり、判断により送金を断られたりすることもある点も、あわせて案内するよう求められています。
多言語のパンフレットがあります
金融庁は、長期在留予定の外国人向けに「日本でくらすための銀行口座や送金の使い方」を作成し、やさしい日本語を含む17の言語で公開しています。英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ベトナム語、フィリピノ語、インドネシア語、タイ語、スペイン語、ミャンマー語、クメール語、モンゴル語、ネパール語、トルコ語、ウクライナ語が用意されています。
本人に説明する場面では、これを渡すのが確実です。口座の売却が在留に影響することも、母語で書かれています。
金融サービスの利用で困ったときの相談先として、金融庁の金融サービス利用者相談室(平日10時〜17時)と英語ワンストップ窓口が案内されています。神奈川県内であれば横浜財務事務所も窓口として挙げられています。
まとめ
- 特定技能では、給与の支払いを預貯金口座振込の方法で行うことが法令により求められる。それ以外の方法をとった場合は事後に入管庁長官の確認が必要
- 義務的支援に口座開設の支援が含まれる
- 開設時は在留カードの提示が必須の金融機関もある。確認が取れない場合、開設できないことがある
- 住所・在留資格・在留期間の変更、退職・退学のときは、入管への届出とは別に金融機関での手続きが必要
- 帰国時は解約が必要。口座の売却は処罰・国外退去処分・入国禁止につながる場合がある
- 金融庁が17言語のパンフレットを公開している(ネパール語を含む)
本記事は確認日時点で金融庁が公表している内容の整理です。口座開設の可否や必要書類は金融機関によって異なります。在留手続きの中で口座が関わる場面については、状況を伺ったうえでお答えします。
この記事の根拠
- 金融庁「外国人の方の預貯金口座・送金利用について──外国人材の受入れに関わる皆様に知っていただきたい事項のご案内」(2024年9月改訂)
https://www.fsa.go.jp/user/01_2024.pdf - 金融庁「外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について」
https://www.fsa.go.jp/policy/gaikokujin/index.html - 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html