TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留手続全般

在留資格が不許可になったら──入管庁が公表している9つの事例と、そのあとにできること

根拠
出入国在留管理庁「在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について」(令和2年9月)
判断の枠組み
在留状況、在留の必要性、相当性等を総合的に勘案して判断される
不服申立て
在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請ともなし
確認日
2026年9月18日時点

更新や変更の申請が通らなかったとき、まず知りたいのは「なぜか」だと思います。

ただ、個別の申請でなぜ不許可になったかは、一般に公表されているものではありません。この記事では、推測ではなく入管庁が公表している9つの不許可事例と、不許可後の手続きを整理します。

ここで扱うのは、公表資料に書かれていることだけです。「こうすれば通る」「こういう理由で落ちる」といった一般化はしていません。判断は個別の事情によるためです。

何を見て判断されるのか

入管庁は、在留資格の変更・在留期間の更新について、次のように説明しています。

法務大臣は変更又は更新を適当と認めるに足る相当の理由があるときに限り、これを許可することができると規定されており、この「相当の理由」があるか否かの判断については、申請した外国人の在留状況、在留の必要性、相当性等を総合的に勘案して判断しているとされています。

考慮される事項については公表されている8つの考慮事項で整理しています。

入管庁が公表している9つの事例

入管庁が令和2年9月に公表した事例です。内容を整理すると、大きく3つの類型に分かれます。

刑事処分を受けた事例(4件)

在留資格内容
経営・管理入管法違反(不法就労助長罪)により罰金30万円。引き続き飲食店を経営するとして更新申請がなされたが、在留状況に問題があるとして認められなかった
技術・人文知識・国際業務児童買春・児童ポルノ関係法違反により罰金50万円。プログラム作成業務に従事するとして更新申請がなされたが、認められなかった
定住者(日系3世)詐欺及び窃盗の罪により懲役2年・執行猶予4年。執行猶予期間中の更新申請が認められなかった
日本人の配偶者等 → 技人国大麻取締法違反・関税法違反により懲役10月執行猶予3年。離婚後、通訳・翻訳業務に従事するとして変更申請がなされたが、認められなかった

経営者が不法就労助長罪で処分を受けた事例が挙げられています。自分の在留資格の問題ではなく、雇用している外国人の就労が問題になった結果として、自身の更新が認められなかったケースです。企業側の管理責任が、経営者本人の在留に跳ね返ることを示しています。

申告内容に問題があった事例(2件)

定住者更新申請の際に提出された源泉徴収票上の住所地が、届け出られた住居地と相違していた。調査の結果、入国以来、源泉徴収票上の住所地に居住していたにもかかわらず、夫の住居地を住居地として虚偽申請をしていたことが判明した
家族滞在 → 留学資格外活動許可を受けることなく風俗営業店にて長期間稼動していた。別の大学に入学したとして変更申請がなされたが、在留状況に問題があるとして認められなかった

住所の食い違いから虚偽申請が判明した事例は、実務上の示唆があります。提出書類どうしの整合性が確認されている、ということです。資格外活動の制限については留学生の資格外活動許可、家族滞在で働くときの資格外活動許可で整理しています。

活動の必要性・相当性が認められなかった事例(3件)

留学専門学校を卒業後、同校の同一の課程で再度勉強したいとして更新申請。在学状況・在留状況に特段問題は認められなかったが、合理的理由は認められず更新が認められなかった
日本人の配偶者等 → 定住者協議離婚後、引き続き在留したいとして変更申請。在留歴は約1年3か月であり、離婚に至る事情及び日本社会への定着性等の事情から、在留を認めるべき事情がないとされた
技人国 → 定住者稼働先を退職し、在留資格の該当性に限らず、より広範で安定した活動を行いたいとして変更申請。変更を認めるべき事情がないとされた

「在留状況に問題がない」だけでは足りない場合があることを示しています。留学の事例では、在学状況にも在留状況にも問題がないとしたうえで、活動そのものの合理性が問われています。

不許可になったあとの流れ

入管庁は、在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請のいずれについても、不服申立方法はないとしています。

実務上の流れとしては、入管から出頭を求める通知が届き、窓口で不許可であることと、その理由の説明を受けることになります。

この説明の場が、次の判断材料になります。何が問題とされたのか、要件を満たしていないのか、説明や資料が足りなかったのか。ここで得た情報が、再申請できるかどうかの判断に直結します。本人だけで臨むと聞き漏らしが起こりやすい場面です。

在留期限との関係

在留期限までに申請していた場合、特例期間として、処分がされる時又は満了日から2か月が経過する時のいずれか早い時まで在留できます。

不許可の処分がされた時点で、特例期間は終わります。在留期限がすでに過ぎている場合、そこから先の在留の根拠がなくなるため、出国の準備をするための在留資格に変更する手続きが案内されることになります。

この段階で就労を続けることはできません。雇用している企業にとっても、在留資格と活動内容が合っているかの確認が必要になる場面です。不法就労助長罪は、上で見た事例1のように、経営者自身の在留にも影響します。

再申請について

再申請そのものが制度上禁じられているわけではありません。ただし、何が問題とされたかによって、取れる手が変わります。

  • 要件を満たしていない場合 ── 状況が変わらない限り、同じ結果になります
  • 説明や資料が足りなかった場合 ── 補って再度申請する余地があります
  • 在留期限が迫っている場合 ── 準備の時間と期限の関係を見る必要があります

どれに当たるかは、入管から受けた説明の内容によります。同じ書類で出し直しても、判断が変わる理由がありません。

まとめ

  • 個別の不許可理由は公表されていないが、入管庁が9つの事例を公表している
  • 判断は在留状況・在留の必要性・相当性等を総合的に勘案して行われる
  • 公表事例は、刑事処分(4件)、虚偽申請・無許可の資格外活動(2件)、活動の必要性・相当性(3件)に分かれる
  • 経営者が不法就労助長罪で処分を受け、自身の更新が認められなかった事例がある
  • 更新・変更の不許可に不服申立方法はない
  • 不許可の処分がされた時点で特例期間は終わる

本記事は確認日時点で入管庁が公表している事例と手続の整理であり、個別の申請の結果を説明するものではありません。ご自身のケースで何が問題とされたのか、再申請の余地があるかについては、入管から受けた説明の内容と資料を拝見したうえでお答えします。

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