在留資格「経営・管理」
経営・管理ビザの更新で不許可を避けるために──公表されている8つの考慮事項
公開 2026.09.12 / 最終確認 2026.09.12
- 根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正 令和8年6月)/同「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」(令和8年6月改訂)
- 法令
- 出入国管理及び難民認定法第21条(在留期間の更新)
- 対象
- 「経営・管理」で在留し、更新を予定している方
- 確認日
- 2026年9月12日時点
更新が許可されるかどうかの判断は、法律上、法務大臣の裁量に委ねられています。そのため「この条件を満たせば許可される」と言い切れる性質のものではありません。ただし入管庁は、判断にあたって考慮する事項をガイドラインとして公表しています。
この記事では、公表されているその考慮事項を、経営・管理で在留する方の視点から整理します。審査の内幕を推測するものではなく、公表資料に書かれていることだけを扱います。
前提として、ガイドライン自体が明記していること。入管庁は、3以下の事項について「代表的な考慮要素であり、これらの事項にすべて該当する場合であっても、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更又は更新を許可しないこともあります」としています。逆に、ひとつ当てはまらないから直ちに不許可、という構造でもありません。総合判断です。
公表されている8つの考慮事項
ガイドラインが挙げているのは次の8項目です。1と2は他と性質が違います。1の在留資格該当性は「許可する際に必要な要件」、2の上陸許可基準は「原則として適合していることが求められる」もので、3以下が考慮要素という位置づけです。
| 項目 | 位置づけ |
|---|---|
| 1 行おうとする活動が在留資格に該当すること | 許可に必要な要件 |
| 2 上陸許可基準等に適合していること | 原則として適合が必要 |
| 3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと | 考慮要素 |
| 4 素行が不良でないこと | 考慮要素 |
| 5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること | 考慮要素 |
| 6 雇用・労働条件が適正であること | 考慮要素 |
| 7 納税義務等を履行していること | 考慮要素 |
| 8 入管法に定める届出等の義務を履行していること | 考慮要素 |
1・2 該当性と基準適合性
経営・管理で更新する場合、まず事業の経営又は管理に実際に従事していることが問われます。ガイドラインは、入管法別表第一の在留資格については同表の下欄に掲げる活動であることが必要としています。
また2について、入管法別表第一の二の表に掲げる在留資格(経営・管理を含みます)は、在留資格変更・在留期間更新に当たっても原則として上陸許可基準に適合していることが求められるとされています。つまり、新規のときに満たした基準を、更新時にも満たしている必要があるということです。
経営・管理の基準は2025年10月16日から大きく変わりました。現に在留している方には経過措置が設けられています。経営・管理ビザの更新と2028年10月までの経過措置で整理していますので、あわせてご確認ください。新規申請の基準は新規申請で必要になる5つの要件で扱っています。
3 在留資格に応じた活動を行っていたか
ガイドラインは、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要としています。例として挙げられているのは失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続していた留学生で、正当な理由がある場合を除き消極的な要素として評価されるとされています。
あわせて、長期間にわたる再入国許可による出国(みなし再入国許可による出国を含む)がある場合も、正当な理由があるときを除き消極的な要素として評価されると明記されています。経営者の方は海外出張や本国滞在が長くなることがあるため、この項目は関わりやすい部分です。
4 素行
素行は善良であることが前提で、良好でない場合は消極的な要素として評価されます。ガイドラインが具体的に挙げているのは、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為と、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為です。これらは初犯であっても素行が不良であると判断されるとされています。
5 独立の生計
生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが求められます。ガイドラインは世帯単位で認められれば足りると明記しています。
仮に公共の負担となっている場合であっても、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断されるとされています。
6 雇用・労働条件
就労している(しようとする)場合、アルバイトを含め雇用・労働条件が労働関係法規に適合していることが必要とされています。経営・管理の場合は、自社で外国人を雇用していれば、その労働条件も関わってきます。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合については、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断されるとされています。
7 納税義務等(令和8年6月改正で注書きが追記された項目)
ここは今回の改正に関わる項目です。ガイドラインは末尾に、令和8年6月の改正では「7 納税義務等を履行していること」における注書きの追記等を実施したと記しています。
内容を整理すると、次のとおりです。
- 納税義務がある場合、履行していなければ消極的な要素として評価される
- 納税義務の不履行により刑を受けている場合は、履行していないと判断される
- 刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等も、悪質なものについては同様に取り扱う
- 国民健康保険料など、法令によって納付することとされているものについても、高額・長期間の未納が判明した場合、悪質なものは同様に取り扱う
追記された注書きは、「当庁からの求めに応じ、関係機関から提供を受けた納税義務等の履行状況に関する情報を踏まえ、許否判断を行う場合があります」というものです。申請時に自分で提出する資料だけでなく、関係機関からの情報提供に基づいて判断されることがある、と明示されました。経営者は法人と個人の両方で納付の場面があるため、確認しておきたい部分です。
8 届出等の義務
中長期在留者は、入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要とされています。
住所や会社の名称・所在地が変わったときの届出が抜けていないか、更新前に確認しておける項目です。所属機関に関する届出については契約機関に関する届出で整理しています。
経営・管理で中心になる「事業の継続性」
ここまでは更新全般に共通するガイドラインですが、経営・管理には別の公表資料があります。入管庁の「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」(令和4年10月策定・令和8年6月改訂)です。ここに、更新で中心になる事業の継続性の判断方法が示されています。
この資料は前提として、事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るとしたうえで、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断するとし、直近二期の決算状況で取り扱うとしています。赤字イコール継続性なし、という構造ではありません。
| 直近二期の状況 | 公表されている取扱い |
|---|---|
| 直近期末に剰余金がある/剰余金も欠損金もない | 事業の継続性があると認める |
| 欠損金はあるが債務超過ではない | 今後1年間の事業計画書・予想収益の資料を提出。疑義がある場合等を除き原則として継続性を認める(内容により第三者評価書を更に求める場合あり) |
| 直近期末は債務超過、直近期前期末は債務超過でない | 公的資格を有する第三者による改善見通しの評価書(1年以内に債務超過でなくなる見通しを含む)の提出を求め、これを参考に判断 |
| 直近期末・直近期前期末ともに債務超過 | 原則として事業の継続性があるとは認められない |
| 直近期・直近期前期ともに売上総利益がない | 原則として事業の継続性があるとは認められない |
第三者評価を行う者として挙げられているのは、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者で、書面は評価の根拠となる理由が記載されているものに限るとされています。
新興企業には柔軟判断の規定があります。2期連続の債務超過、または2期連続で売上総利益がない場合でも、新興企業(設立5年以内の国内非上場企業)が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合は、設立当初の赤字が想定されるとして、次の書類の提出を求めたうえで、合理的な理由があると判断されれば事業の継続性について柔軟に判断するとされています。
第三者による改善見通しの評価書/投資家・ベンチャーキャピタル・銀行等からの投融資、補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類/製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類。
「経営又は管理に実質的に参画していること」
同じ資料は、経営・管理に該当する前提として、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることを挙げています。役員に就任しているということだけでは、この在留資格に該当するものとはいえないと明記されています。
先の考慮事項3(在留資格に応じた活動を行っていたか)で、長期の出国が消極的な要素として評価され得るとされていました。国外にいる期間が長い場合、日本国内で事業の経営・管理に実質的に参画していたことを、資料で説明できる状態にしておくことが実務上の準備になります。
事業者としての義務の履行
この資料は、経営・管理で在留する外国人が自らの運営する機関(個人事業を含む)について、各種公的義務の履行に関する法令を遵守する必要があるとしています。
- 租税関係法令:国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税、事業税等)の適切な納付。消費税の不正受還付や、所得税・法人税等に関して重加算税賦課決定処分があった機関を運営する者については、特に消極的な要素として評価されるとされています
- 労働関係法令・社会保険関係法令:従業員(アルバイトを含む)の労働条件の適合、労働保険の加入手続と保険料納付、健康保険・厚生年金保険の適用事業所である場合の加入手続と従業員の資格取得手続・保険料納付
先の考慮事項7は申請人本人の納税義務でしたが、こちらは運営する会社としての義務です。経営・管理では、個人と法人の両方が見られる形になります。
健康保険証の提示について
ガイドラインは、社会保険への加入促進のため、2010年4月1日から申請時に窓口で健康保険証の提示を求めているとしています。2024年12月2日に健康保険証の発行が廃止されたことから、同日以降、健康保険証を所持していない方については、マイナポータルの「資格情報」画面の提示、「資格情報のお知らせ」又は「資格確認書」の提示を求めているとされています。
あわせてガイドラインは、健康保険証等を提示できないことで在留資格の変更又は在留期間の更新を不許可とすることはありませんと明記しています。
まとめ
- 更新の可否は法務大臣の裁量。入管庁は判断の考慮事項をガイドラインで公表している(最終改正 令和8年6月)
- 項目は8つ。1は許可に必要な要件、2は原則適合が求められるもの、3以下が考慮要素
- 入管庁自身が、すべて該当しても総合判断の結果許可しないことがあると明記している
- 経営・管理で関わりやすいのは、更新時にも上陸許可基準への適合が求められる点、長期の出国、自社の労働条件、納税と社会保険料
- 令和8年6月改正で、関係機関から提供を受けた納税義務等の履行状況を踏まえて判断する場合がある旨の注書きが追記された
- 経営・管理では別途「明確化等について」(令和8年6月改訂)があり、事業の継続性は直近二期の決算状況で判断される。単年度ではなく貸借状況等も含めた総合判断
- 2期連続の債務超過、2期連続で売上総利益がない場合は原則として継続性が認められない。ただし新興企業(設立5年以内の国内非上場企業)には柔軟判断の規定がある
- 役員就任だけでは該当しない。事業の運営に関する重要事項の決定等に実質的に参画していることが前提
本記事は確認日時点で入管庁が公表しているガイドラインの整理であり、個別の申請の結果を保証するものではありません。ご自身の状況がどの項目に関わるかは、資料を拝見したうえでお答えします。
実際に更新・変更が認められなかった事例は入管庁が公表している9つの事例で整理しています。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正 令和8年6月)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html - 出入国在留管理庁「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」(令和8年6月改訂)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001382036.pdf - 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html