在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」
配偶者ビザで離婚・死別したとき──日本にいるために取れる手続きを入管庁の資料で整理
公開 2026.10.12 / 最終確認 2026.10.12
- 届出
- 離婚・死別から14日以内(入管法第19条の16)
- 取消しの事由
- 配偶者としての活動を継続して6か月以上しない(正当な理由がある場合を除く)
- 次の在留資格
- 定住者・就労の在留資格などへの変更
- 確認日
- 2026年10月12日時点
この記事の要点
- 離婚・死別したら、14日以内に入管へ配偶者に関する届出をする(電子届出・窓口・郵送)
- 配偶者としての活動を継続して6か月以上しないことは取消しの事由になりうるが、正当な理由があれば除かれ、取り消す前に意見を聴く手続きと、変更・永住申請の機会への配慮がある
- 正当な理由の例は、DVからの避難、子の養育のための別居(生計は同じ)、本国の親族の傷病による出国、離婚調停・訴訟中
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格(配偶者ビザ)で暮らしている方が離婚・死別したときは、まず14日以内に入管へ「配偶者に関する届出」をします。離婚・死別しただけで、その日に在留資格がなくなるわけではありません。ただ、配偶者としての活動をしない状態が続くと在留資格の取消しの対象になりうるので、在留期限を待たずに、できるだけ早く、次にどの在留資格で日本にいるかを考えることになります。
この記事では、入管法の条文と、出入国在留管理庁(入管庁)・法務省が公表している資料から、届出のしかた、「6か月」の意味、離婚・死別のあとに考える在留資格、永住者の場合を整理します。
まず14日以内に「配偶者に関する届出」
入管法は、次の在留資格の人が配偶者と離婚又は死別したときは、その日から14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出なければならないと定めています(第19条の16第3号)。
- 日本人の配偶者等(日本人の配偶者の身分を有する人)
- 永住者の配偶者等(永住者・特別永住者の配偶者の身分を有する人)
- 家族滞在(配偶者として在留している人)
届出の方法は、電子届出システム、最寄りの地方出入国在留管理官署の窓口(在留カードを提示)、郵送(東京出入国在留管理局 在留調査部門 届出受付担当あて)の3つです。入管庁は、電子届出では届出事項を証する資料の提出は必要ないとしています。郵送の場合は、届出書に在留カードの写しを同封します。届出をしなかった場合は20万円以下の罰金の対象になります(第71条の5第3号)。
旅券の氏名が変わるなど、在留カードの氏名などに変更があったときは、別に、在留カードの記載事項の変更の届出(14日以内。第19条の10)も必要です。
「6か月」の意味──すぐに在留資格がなくなるわけではありません
入管法は、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の在留資格の人が、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していることを、在留資格の取消しの事由の一つにしています。ただし、そのことに正当な理由がある場合は除かれます(第22条の4第1項第7号)。日本人の子として生まれた人など、配偶者のほかにも同じ在留資格に当たる身分がある人は、この号の対象になりません。
取消しは「取り消すことができる」とされている手続きで、取り消す前には、入国審査官が本人の意見を聴きます(同条第2項)。また入管法は、この第7号の事実で取消しをしようとするときは、在留資格の変更や永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないと定めています(第22条の5)。第7号で取り消す場合は、30日を超えない範囲内で出国のための期間が指定されます(第22条の4第7項)。
正当な理由がある場合の例
法務省入国管理局の資料(平成24年7月)は、配偶者としての活動をしていないことに正当な理由がある場合の例として、次の4つを挙げ、これに限られないとしています。
- 配偶者からの暴力(いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス))を理由として一時的に避難又は保護を必要としている場合
- 子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合
- 本国の親族の傷病等の理由により、再入国許可(みなし再入国許可を含む)による長期間の出国をしている場合
- 離婚調停又は離婚訴訟中の場合
入管庁のQ&Aも、子の親権を巡って離婚調停中の場合や、日本人配偶者が有責であることなどを争って離婚訴訟中の場合などが当たると考えられるとしています。一方で、入管庁は、届出と同時に在留資格の変更を申請しなければならないわけではないとしつつ、正当な理由なく6か月以上配偶者としての活動をしていないと取消しの対象になるので、できるだけ早期に適当な在留資格への変更手続をするよう案内しています。
離婚・死別のあとに考える在留資格
日本人の配偶者等は、入管法別表第二の「日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者」という身分に基づく在留資格です。入管庁のガイドラインも、別表第二の在留資格は、その身分又は地位を有する者としての活動であることが必要としています。離婚・死別のあとも日本で暮らす場合は、ほかの在留資格への変更を考えることになります。
| 変更を考える在留資格 | 考え方(一次資料で言えること) |
|---|---|
| 定住者 | 告示に当たらない事情でも、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等から定住者への変更が認められた事例が公表されている(下の表)。入管庁が示しているのは事例で、決まった基準は示されていない |
| 就労の在留資格(技術・人文知識・国際業務など) | その在留資格の要件を満たす必要がある。入管庁のガイドラインは、技術・人文知識・国際業務などの別表第一の二の表の在留資格に変更するときも、原則として上陸許可基準に適合していることが求められるとしている |
法務省入国管理局の資料は、日本国籍の実子を監護・養育しているなどの事情がある場合には、他の在留資格への変更が認められる場合があるとしています。就労の在留資格の要件は就労ビザとは、定住者の全体は定住者ビザとはで整理しています。
定住者への変更が認められた事例・認められなかった事例
入管庁は、日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等から定住者への在留資格の変更が認められた事例7件と、認められなかった事例6件を公表しています(法務省入国管理局、平成24年7月、平成29年3月改訂)。主なものは次のとおりです。
| 結論 | 事例の要点 |
|---|---|
| 認められた | 日本人と約6年6か月の婚姻の後に離婚し、日本人の実子の親権者として監護・養育している。訪問介護員として一定の収入がある |
| 認められた | 日本人と約7年9か月の婚姻の後に離婚。親権者は前の配偶者だが、日本人の実子に毎月3万円の養育費を払い続けている。会社員として一定の収入がある |
| 認められた | 特別永住者と約6年1か月の婚姻の後に死別。金属溶接業の経営を続ける必要があり、経営で一定の収入がある |
| 認められた | 配偶者からの暴力が原因で婚姻が事実上破綻し、別居している(離婚は成立していない。離婚手続は執られていないが、別居し双方が離婚の意思を明確に示していた例、離婚調停が不成立で離婚訴訟を準備中の例など) |
| 認められなかった | 詐欺・傷害で有罪判決を受けた(日本人の実子がいて、親権者は前の配偶者) |
| 認められなかった | 単身で長期間、日本の外に滞在していた |
| 認められなかった | 婚姻後の同居が3か月未満だった |
| 認められなかった | 配偶者からの暴力の被害を申し立てたが、婚姻の実体があったのが短い(離婚・再婚を繰り返し約1年11か月/約1年3か月) |
資料の冒頭には、判断は行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性などを総合的に勘案して行われるもので、事例に類似する場合であっても結論が異なることもあると書かれています。婚姻期間が何年以上といった数字の基準は示されていません。
どの在留資格を目指せるか、どんな事情をどの資料で示すかは、婚姻の期間や生活の実態、お子さんの監護・養育、今の仕事によって変わります。
ご自身の事情をどう示せるかは、状況を伺ったうえでご案内します。まずは初回無料のご相談で、今の状況をお聞かせください。在留期限が近い場合は、期限の日付を一言書いてお送りください。
ご相談から依頼までの流れ(その場で契約をお願いすることはありません)
別居中・離婚調停中のとき
上の「正当な理由がある場合の例」のとおり、離婚調停や離婚訴訟の途中の場合や、子供の養育などのために別居していても生計が同じ場合は、在留資格の取消しを行わない例として挙げられています。ただし、これは取消しについての例で、在留期間の更新が許可されるかは、ガイドラインに沿って別に判断されます。別居や調停中の更新で気をつけることは配偶者ビザの更新で整理しています。
死別のとき
配偶者と死別したときも、14日以内の配偶者に関する届出の対象です。上の事例のとおり、死別のあと日本で事業を続ける必要がある人が定住者への変更を認められた事例がある一方、日本人の配偶者と死別した人でも、単身で約1年6か月日本の外に滞在し、日本にいる間も配偶者と別居していた事例は認められていません。
永住者になっている人は
配偶者ビザから永住許可を受けて「永住者」になっている人は、離婚しても在留資格の取消しの第7号の対象ではありません(第7号の対象は日本人の配偶者等と永住者の配偶者等)。配偶者に関する届出の対象にも、永住者本人は入っていません。2027年4月1日から加わる永住者の取消事由(入管法の義務を守らない、故意に公租公課を支払わない、一定の罪で拘禁刑に処せられる)にも、離婚は含まれていません。ただし、不正の手段で永住許可を受けた場合などは、取消しの対象になります(永住権の取り消し)。
よくある質問
離婚したら、すぐに帰国しなければいけませんか
離婚しただけで、在留資格がその日になくなるわけではありません。まず14日以内に配偶者に関する届出をし、在留期限までの間に、定住者や就労の在留資格など、次の在留資格への変更を考えます。入管庁は、できるだけ早期に適当な在留資格への変更手続をするよう案内しています。
「6か月」は離婚した日から数えるのですか
条文は、離婚の日からとは定めておらず、「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること」という書き方です。正当な理由がある場合は除かれ、取消しの前には意見を聴く手続きがあります。数え始めを離婚の日とは書いていないので、別居などで夫婦としての活動が離婚の前から途切れている場合は、離婚の日から6か月の猶予があると考えず、早めに変更を考えます。
日本人との間に子どもがいます
法務省入国管理局の資料は、日本国籍の実子を監護・養育しているなどの事情がある場合には、他の在留資格への変更が認められる場合があるとしています。公表されている事例には、親権者として監護・養育している例のほか、親権者は前の配偶者でも養育費を払い続けている例があります。一方で、日本人の実子がいても、詐欺・傷害の罪で有罪判決を受けた人は認められなかった事例があります。
まとめ
- 離婚・死別したら、14日以内に入管へ配偶者に関する届出をする(電子届出・窓口・郵送)
- 配偶者としての活動を継続して6か月以上しないことは取消しの事由になりうるが、正当な理由があれば除かれ、取り消す前に意見を聴く手続きと、変更・永住申請の機会への配慮がある
- 正当な理由の例は、DVからの避難、子の養育のための別居(生計は同じ)、本国の親族の傷病による出国、離婚調停・訴訟中
- 離婚・死別のあとは、定住者や就労の在留資格への変更を考える。定住者は認められた事例・認められなかった事例があり、数字の基準はない
- 永住者は、離婚しても配偶者の取消し事由(第7号)の対象ではない
本記事は確認日時点で入管法と、入管庁・法務省が公表している資料の整理です。離婚・死別のあとの在留は、個々の事情を総合して判断されます。状況を伺ったうえでお答えします。
この記事の根拠
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の10・第19条の16・第22条の4・第22条の5・第71条の5・別表第二。永住者の取消事由は2027年4月1日施行の改正後の第22条の4第1項第8号・第9号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00016.html - 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/torikeshi_00002.html - 法務省入国管理局「配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことに正当な理由がある場合等在留資格の取消しを行わない具体例について」(平成24年7月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/920000161.pdf - 出入国在留管理庁「知っておきたい!!在留管理制度あれこれ」(Answer Q80〜Q149、Q98・Q118)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/faq/newimmiact_4_q-and-a_page3.html - 出入国在留管理庁「「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00057.html - 法務省入国管理局「「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」(平成24年7月作成・平成29年3月改訂、PDF)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930002823.pdf - 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html - 出入国在留管理庁「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00009.html