TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留資格「特定技能」

特定技能「物流倉庫」分野──対象になる事業者と、2026年9月時点で決まっていること・まだ決まっていないこと

根拠
国土交通省「物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて」/同「物流倉庫分野の上乗せ基準」
分野の追加
令和8年1月23日の閣議決定で、特定産業分野・育成就労産業分野に追加
受入れ見込数
特定技能1号 11,400人(令和11年3月末まで)
確認日
2026年9月25日時点(国土交通省ページの記載は2026年9月時点)

物流倉庫が、特定技能と育成就労の対象分野に加わりました。国土交通省は、令和8年1月23日の閣議決定で「物流倉庫分野」が特定産業分野及び育成就労産業分野に追加されたとしています。

制度の骨格は固まりつつありますが、まだ決まっていないことも多い段階です。この記事では、国土交通省の公表内容をもとに、決まっていることと決まっていないことを分けて整理します。

まだ決まっていないこと(2026年9月時点)

先に、準備の段取りに直結する未確定事項から挙げます。

項目国土交通省の案内
特定技能1号技能評価試験試行試験を終え、手続を進めている。試験開始時期は調整中で未定
試験実施要領調整中。今後公表予定
分野別協議会設置に向けて調整中。加入要件・提出書類・受付開始時期は決定次第公表

「2027年4月から特定技能で受け入れられる」とは、まだ言えません。2027年4月1日は育成就労制度の運用開始日です。特定技能1号で受け入れるには技能評価試験への合格が必要で、その試験の開始時期が未定です。また、受入れ機関には協議会への加入が義務付けられていますが、その協議会自体が設置調整中です。

受け入れられる技能区分

物流倉庫分野で受け入れられるのは育成就労と特定技能1号です。国土交通省は、現時点で特定技能2号の受入れはないとしています。

区分就労開始前に必要なもの
特定技能1号物流倉庫分野特定技能1号評価試験の合格と、日本語能力(「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上。JFT-Basic A2.2相当以上又はJLPT N4以上)の合格。技能実習2号を良好に修了した者は、職種を問わず日本語の試験が免除
育成就労日本語能力A1相当以上の試験(JLPTのN5等)の合格、又はそれに相当する日本語講習の受講

対象になる事業者は3類型

受け入れられる事業者は、次のいずれかに当てはまる必要があります。

類型事業者就業の場所
A倉庫業法第7条第1項の倉庫業の登録を受けた倉庫業者で、倉庫作業を自ら実施する者自らが占有する営業倉庫登録がなされた倉庫
B倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者(倉庫作業会社)作業委託元の倉庫業者が占有する、委託元によって営業倉庫登録がなされた倉庫
C一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可を受けた者(1) 自らが占有する倉庫(実運送として自社車両又は自社手配の庸車が出入りしている倉庫)
(2) 運送事業に関連して他人の需要に応じ、有償で倉庫作業を実施している倉庫

運送事業者は、営業倉庫でなくても対象になり得ます。類型Cの(1)は、自社が占有する倉庫で、実運送として自社車両等が出入りしているものです。倉庫業者と運送事業者で、倉庫に求められる条件が違う点に注意してください。

運送事業者が他人の需要に応じて有償で倉庫作業を引き受ける場合は、運賃等の輸送に関する対価とは別に作業料金を受け取って引き受けている倉庫作業である必要があります。運送に伴う荷役として運賃に含まれて引き受けている作業は「倉庫作業」に当たりません。

従事できる業務

従事できるのは、物流倉庫において、倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の各種倉庫作業に限られます。

  • 主な業務:入出庫貨物の受渡し・検品、貨物の移動、保管庫への格納、ピッキング、流通加工 等
  • 関連業務:事務所への連絡・報告、作業場所の整理整頓や清掃、台風等に備えた貨物の移動や雨水侵入防止措置、安全衛生等の会議体への参加 等

包装されていない食品に直接触れる業務には従事できません。食品を扱う倉庫では、業務の割り振りを確認しておく必要があります。

流通加工の範囲について、国土交通省は、小分け再包装、タグ取付け、ラベル貼り、セット組み等を例に挙げ、商品そのものの機能を完成させたり性能を向上させたりすることは製造工程の一環であり、流通加工には含まれないとしています。

上乗せ基準──受入れ機関に求められる要件

物流倉庫分野には、受入れ機関が満たすべき分野固有の基準(上乗せ基準)があります。国土交通省の一覧では、次の要件をすべて満たす必要があるとされています。

要件内容
倉庫管理システムの利活用入庫管理+在庫管理+出庫管理の機能を有する情報システムを利活用していること
機能を拡充する機器・システム上記システムと連携して機能が拡充される機器・情報システムを利活用することとし、協議会への加入後1年以内に報告することとしていること
分野別協議会への加入等協議会の構成員であること、協議会への協力、国土交通省等が行う調査・指導等への協力
実務経験証明書の発行雇用していた外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付(又はデータを提供)することとしていること

特定技能の運用要領別冊(2026年9月18日公表)で、これらはいずれも告示第3条の基準として特定技能にも適用されることが確認できます。基準を満たさない場合は、特定技能外国人の受入れができないとされています。

WMSは自社で持っていなくても構いません。国土交通省は、いわゆる倉庫管理システム(WMS)を念頭に置いているとしたうえで、入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能が満たされたものであればよく、WMSと銘打って製品化されていないものでも構わないとしています。また「利活用していること」としているので、外国人が就業する事業所で情報システムが使える状態にあれば、自身が所有していなくても構わないとされています。

特定技能に特有の要件

要件内容
労働者派遣の禁止雇用契約において、特定技能外国人を労働者派遣の対象としていないこと
雇用継続協定書(類型Bのみ)特定技能外国人の雇用の継続について、委託元の倉庫業者と協力して就労支援を行うことを約する旨の協定書を作成すること
登録支援機関の協議会加入等登録支援機関に支援計画の実施を委託する場合、登録支援機関も協議会の構成員であること等

派遣が認められているのは農業分野と漁業分野に限られており、物流倉庫分野では認められていません。別冊は、特定技能外国人を派遣することも、派遣された者を受け入れることもできないとし、行った場合は以後5年間、特定技能外国人の受入れができないとしています。

今のうちに準備できること

試験と協議会が未定でも、事業者側で確認できることはあります。

  • 自社がA・B・Cのどの類型に当たるか(倉庫業の登録、運送事業の許可の有無)
  • 類型Bの場合、委託元の倉庫が営業倉庫登録されているか、雇用継続協定書を結べるか
  • 就業する事業所で入庫・在庫・出庫管理の機能を持つシステムが使えるか
  • 従事させる業務が倉庫作業に当たるか(運送に伴う荷役や、包装されていない食品に直接触れる業務になっていないか)
  • 自社支援か、登録支援機関への委託か(委託する場合、登録支援機関も協議会に加入する必要がある)

特定技能の受入れ全般で共通する手続き──協議会加入を在留諸申請の前に済ませること、市区町村への協力確認書、定期面談、年1回の定期届出と14日以内の随時届出──は物流倉庫分野でも前提になります。協議会加入、協力確認書、届出は誰が出すのかで整理しています。

まとめ

  • 物流倉庫分野は令和8年1月23日の閣議決定で追加。受入れ見込数は特定技能1号11,400人(令和11年3月末まで)
  • 受け入れられるのは育成就労と特定技能1号。特定技能2号はない
  • 特定技能1号技能評価試験の開始時期、協議会の加入受付は未定(2026年9月時点)。2027年4月1日は育成就労の開始日
  • 対象は倉庫業者(A)、倉庫業者から倉庫作業を受託する事業者(B)、一定の運送事業者(C)
  • 上乗せ基準はWMS等の利活用、協議会への加入、実務経験証明書の発行など。特定技能は派遣禁止、類型Bは雇用継続協定書が必要
  • 包装されていない食品に直接触れる業務、運送に伴う荷役は対象外

本記事は確認日時点で国土交通省が公表している内容の整理です。試験・協議会など未確定の事項は、今後の公表で変わる可能性があります。特定技能の運用要領別冊(物流倉庫分野)は2026年9月18日に公表されています。自社がどの類型に当たるか、今から何を整えておくかについては、状況を伺ったうえでお答えします。

3つの類型それぞれの条件と、受託会社が作成する協定書の中身は物流倉庫分野の特定技能、自社は対象かで整理しています。

分野の個別論点は、WMS要件、倉庫業の登録と受け入れられる形、派遣禁止と技人国の現場作業で整理しています。

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物流倉庫分野での受入れを検討している倉庫業者・運送事業者の方へ

自社がA・B・Cのどの類型に当たるか、倉庫の条件やシステムの要件を満たしているか、試験と協議会の公表を待つ間に何を整えておくか。現在の事業の形を伺ったうえで整理してお伝えします。

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