在留資格「特定技能」
物流倉庫分野の特定技能、自社は対象か──倉庫業者・倉庫作業の受託会社・運送事業者の条件と、受託会社に必要な協定書
公開 2026.09.25 / 最終確認 2026.09.25
- 根拠
- 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-物流倉庫分野の基準について-」(令和8年9月18日公表)/令和8年国土交通省告示第787号 第3条
- 対象
- 物流倉庫分野での受入れを検討している倉庫業者、倉庫作業の受託会社、運送事業者
- 確認日
- 2026年9月25日時点
物流倉庫分野で特定技能外国人を受け入れられるかどうかは、事業者がどの類型に当たるかでまず決まります。類型によって、倉庫に求められる条件や追加で必要な書類が違います。
この記事では、2026年9月18日に公表された運用要領別冊(物流倉庫分野)をもとに、3つの類型の条件を整理します。制度の全体像は特定技能「物流倉庫」分野の概要で整理しています。
受け入れられるのは、この3つのどれか
告示第3条は、特定技能外国人を倉庫作業(貨物の入庫、保管、出庫その他の倉庫内における作業)に従事させるものであり、かつ次のいずれかに当たることを求めています。
| 類型 | 事業者 | 追加の条件 |
|---|---|---|
| ① | 倉庫業者(倉庫業法第7条第1項) | ― |
| ② | 倉庫業者が現に営業に使用している倉庫において、その倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者 | 雇用の継続に係る責任を負う旨の協定書を、倉庫業者と共同して作成している者に限る |
| ③ | 一般貨物自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法第7条第1項)又は特定貨物自動車運送事業者(同法第21条) | 占有する倉庫又は事業に関連する他人の倉庫で、他人の需要に応じ有償で倉庫作業を実施する者であること |
倉庫業の登録や運送事業の許可がない会社は、このままでは対象になりません。倉庫業の登録も運送事業の許可も持たず、自社製品を自社の倉庫で扱っているだけの会社は、①にも③にも当たりません。②として受託の形で関わる場合も、委託元が倉庫業者であることが前提です。
② 倉庫作業の受託会社──協定書が必要
構内作業を請け負っている会社が当たるのがこの類型です。別冊は、委託を受けて倉庫作業を実施する者が特定技能所属機関になるとしています。つまり、雇用するのは受託会社です。
そのうえで、受託会社は、特定技能外国人の雇用の継続に係る責任を負う旨の協定書を委託元の倉庫業者と共同して作成する必要があります。
協定書に書くこと
別冊は、協定書には特定技能外国人の雇用の継続を図るため、倉庫業者が就労支援を行う旨を記載する必要があるとしています。具体的には次のとおりです。
- 倉庫業者と受託会社の業務委託が解消され、それに伴って受託会社と特定技能外国人の雇用契約が解除される場合
- 委託元の倉庫業者は、受託会社(支援を全部委託している場合は登録支援機関)が行う転職に係る支援の補助を行う
倉庫業者に直接雇用や賃金の保証までは求められません。別冊は、倉庫業者には当該特定技能外国人を直接雇用することや賃金を保証することまでは求められないと明記しています。委託元に求められるのは、転職支援の補助です。委託元の倉庫業者に協力を依頼するときは、この範囲を正確に伝えると話が進めやすくなります。
転職に係る支援は、特定技能外国人がその責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合に行う義務的支援の一つです。支援の範囲については支援はどこまで委託できるかで整理しています。
③ 運送事業者──「反復継続的に出入り」が条件
運送事業者は、営業倉庫の登録がなくても対象になり得ます。ただし条件があります。別冊は、次のいずれかを指すとしています。
- 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業として、自社の自動車が反復継続的に倉庫作業を実施する倉庫に出入りしていること
- 運送事業の許可の範囲内で行われる貨物自動車利用運送として、自社で運送手配をした他社の自動車(いわゆる庸車)が反復継続的に倉庫作業を実施する倉庫に出入りしていること
運賃に含まれた荷役は「倉庫作業」に当たりません。別冊は、運送事業に関連して他人の需要に応じ有償で倉庫作業を引き受けている場合は、運賃等の輸送に関する対価とは別に作業料金を収受している必要があり、運送に伴う荷役として運賃に含まれて引き受けている作業は「倉庫作業」には当たらないとしています。請求の形が、対象になるかどうかを分けます。
どの類型でも共通して必要なこと
類型の条件に加えて、告示第3条は次のすべてを求めています。
- 国土交通省が設置する協議会の構成員であること、協議会への協力、協議が調った事項に関する措置
- 国土交通大臣又はその委託を受けた者が行う調査、指導その他の活動への協力(オンラインによる調査などデジタルツールを使うことも含まれる)
- 支援を登録支援機関に全部委託する場合は、協議会の構成員である等の要件を満たす登録支援機関に委託すること
- 入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能を有する情報システムを利活用していること
- それと連携して機能が拡充される機器・情報システムを継続して利活用し、協議会に加入した日から1年以内に報告すること
- 特定技能外国人の求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付又は提供すること
別冊は、調査等への協力を行わない場合、協議会で調った措置を講じない場合、実務経験証明書を交付しない場合は、基準に適合しないことから特定技能外国人の受入れができないとしています。
在留諸申請で確認される書類
- 協議会の構成員であることの証明書
- 分野参考様式第20-1号「物流倉庫分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」(特定技能所属機関)
- 分野参考様式第20-2号「同誓約書」(登録支援機関。支援を全部委託する場合)
協議会への加入は在留諸申請の前です。別冊は、特定技能所属機関は当該特定技能外国人に係る在留諸申請の前に協議会に加入する必要があるとしています。支援を全部委託する場合、登録支援機関も在留諸申請の前に加入が必要です。物流倉庫分野の協議会は、2026年9月時点で設置調整中です。協議会加入の一般的な流れは協議会加入で整理しています。
まとめ
- 受け入れられるのは、①倉庫業者、②倉庫業者から倉庫作業を受託する者、③一般・特定貨物自動車運送事業者のいずれか
- ②は受託会社が雇用し、委託元の倉庫業者と雇用継続の協定書を共同で作成する。倉庫業者は転職支援の補助を行い、直接雇用や賃金保証までは求められない
- ③は自社の自動車又は自社手配の庸車が反復継続的に出入りする倉庫であること。運賃に含まれた荷役は対象外
- どの類型でも、協議会、国交省の調査等への協力、WMS等の利活用、実務経験証明書が必要
- 協議会には在留諸申請の前に加入する(2026年9月時点で設置調整中)
本記事は確認日時点で公表されている運用要領別冊の整理です。自社がどの類型に当たるか判断に迷う場合、別冊は国土交通省物流・自動車局に問い合わせるよう案内しています。受託契約の形や請求の実態を伺ったうえで、整理のお手伝いもしています。
倉庫業の登録を持たない会社の選択肢は倉庫業の登録がない会社が物流倉庫分野の特定技能を考えるとき、WMS要件の詳細は物流倉庫分野のWMS要件、派遣の扱いは派遣不可と5年間の受入れ停止で整理しています。
この記事の根拠
- 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-物流倉庫分野の基準について-」(令和8年9月18日公表)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/002023331.pdf - 国土交通省「物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/warehousing_ssw.html