在留資格「特定技能」
物流倉庫分野の特定技能は派遣不可──違反すると5年間受入れ不可、技人国で倉庫作業をさせるリスクとの違い
公開 2026.09.25 / 最終確認 2026.09.25
- 根拠
- 令和8年国土交通省告示第787号 第1条/物流倉庫分野の運用要領別冊(令和8年9月18日公表)/出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」
- 派遣
- 特定技能外国人を派遣することも、派遣された者を受け入れることもできない
- 違反した場合
- 以後5年間、特定技能外国人の受入れができない
- 確認日
- 2026年9月25日時点
物流の現場では、派遣や構内請負の形で人を確保している会社が少なくありません。物流倉庫分野の特定技能では、派遣は認められていません。そして違反した場合の扱いは、想像より重いものです。
あわせて、「特定技能がまだ始まらないなら、技術・人文知識・国際業務(技人国)で採用して現場に入ってもらえばいいのでは」という発想の危うさも整理します。
派遣は、する側も受け入れる側も不可
告示第1条は、物流倉庫分野の特定技能について、申請人を労働者派遣の対象とすることを内容とする特定技能雇用契約を締結していないことを上陸の基準としています。
運用要領別冊は、これを受けて次のように説明しています。
- 特定技能外国人は労働者派遣によるものであってはならない
- 特定技能外国人を派遣することも、派遣された者を受け入れることもできない
特定技能で派遣が認められているのは農業分野と漁業分野に限られます(入管庁Q&A)。物流倉庫分野は対象外です。
違反すると、5年間受け入れられない
別冊は、特定技能外国人を派遣し、又は派遣された者を受け入れた場合には、入国・在留諸申請において不正に許可を受けさせる目的での虚偽文書の行使等に該当し、出入国に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為を行ったものとして、以後5年間は、特定技能外国人の受入れができないとしています。
影響は物流倉庫分野だけにとどまりません。「特定技能外国人の受入れができない」とされているので、会社として他の分野で受け入れることにも響きます。派遣元・派遣先のどちらの立場でも該当し得る点に注意が必要です。
受け入れる形は直接雇用です。倉庫作業の受託会社が受け入れる場合も、雇用主は受託会社自身で、委託元の倉庫業者と雇用継続の協定書を作る形になります(類型ごとの条件)。
技人国で倉庫の現場作業をさせるとどうなるか
技人国は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務に従事するための在留資格です。入管庁は、特段の技術又は知識を要しない業務や、反復訓練によって従事可能な業務を行う場合には、技人国に該当しないと判断されるとしています。
入管庁が公表している不許可事例には、教育学部を卒業した者が、弁当の製造・販売業務を行っている企業に現場作業員として採用され、弁当加工工場で箱詰め作業に従事するとして申請したところ、人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず不許可となったものがあります。
「研修」として認められる範囲には条件があります。入管庁は、技人国に該当しない業務が含まれる場合でも、それが入社当初に行われる研修の一環で、今後技人国に該当する業務を行う上で必ず必要となり、日本人も入社当初は同様の研修に従事するといった場合には技人国に該当するものと扱うとしています。ただし、在留期間中の活動を全体として捉えて判断され、採用から1年を超えて実務研修に従事する申請については研修計画の提出を求め、期間の合理性を審査するとされています。
つまり、倉庫の入出荷やピッキングを主たる業務として担ってもらう目的で技人国を使うことはできません。倉庫の現場作業を担う人材として受け入れる在留資格は、物流倉庫分野の特定技能1号や育成就労です。
整理すると
| 特定技能1号(物流倉庫) | 技人国 | |
|---|---|---|
| 倉庫の現場作業 | 主たる業務として従事できる | 主たる業務としては不可(研修の一環として限定的に認められる場合あり) |
| 雇用の形 | 直接雇用。派遣は不可 | 業務内容で判断 |
| 受入れ開始 | 試験・協議会が未定(2026年9月時点) | ― |
技人国の業務内容の判断については技人国の申請で最初に決まる「カテゴリー」、転職時の扱いは技人国で転職したら何をするかで整理しています。
まとめ
- 物流倉庫分野の特定技能は派遣不可。派遣することも、派遣された者を受け入れることもできない
- 違反すれば虚偽文書の行使等に該当し、以後5年間は特定技能外国人の受入れができない
- 受入れは直接雇用が前提
- 技人国は、特段の技術又は知識を要しない業務・反復訓練で従事可能な業務では認められない
- 研修として現場作業が認められるのは、日本人と同様の入社当初の研修で、在留期間全体の中で合理的な範囲に限られる
本記事は確認日時点で公表されている内容の整理です。現在の人員確保の形(派遣・請負・直接雇用)から、どの在留資格でどう受け入れるかの設計についても、状況を伺ったうえでお答えします。
この記事の根拠
- 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-物流倉庫分野の基準について-」(令和8年9月18日公表)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/002023331.pdf - 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001413895.pdf - 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q5)
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html