在留資格「特定技能」
特定技能外国人が失踪(行方不明)したら──14日以内の届出と、その後の受入れへの影響
公開 2026.09.25 / 最終確認 2026.09.25
- 根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」/同「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
- 届出
- 受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号)+行方不明が判明した際の状況説明書(第5-15号)/事由が生じた日から14日以内
- 受入れへの影響
- 過去1年以内に、受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人を発生させていないことが基準
- 確認日
- 2026年9月25日時点
特定技能外国人が出勤せず、連絡も取れなくなった。受入れ企業にとっては、何から手をつければよいか分からない場面です。
この記事では、最初に出す届出と、その後の受入れにどう影響するかを、入管庁の公表内容から整理します。影響のほうは見落とされがちですが、企業にとってはこちらが重い部分です。
まず出す届出は2つ、14日以内
行方不明が判明したら、受入れ企業は受入れ困難に係る届出を行います。
| 様式 | 内容 |
|---|---|
| 参考様式第3-4号 | 受入れ困難に係る届出書 |
| 参考様式第5-15号 | 行方不明が判明した際の状況説明書 |
期限は事由が生じた日から14日以内です。説明書は事由によって様式が分かれ、行方不明の場合は第5-15号を使います。様式の使い分けと提出方法は受入れ困難に係る届出で整理しています。
出す順番に注意してください。受入れ困難に係る届出は、雇用契約の終了に関する届出より前に出すことになります。先に契約終了の届出だけを出してしまうと、流れが合わなくなります。
届出書を作成するのは受入れ企業の役職員か、行政書士・弁護士です。登録支援機関に支援を全部委託していても、届出の義務は企業に残ります(届出は誰が出すのか)。
受入れへの影響──「過去1年以内」の基準
ここが企業にとって最も重い部分です。
入管庁は、特定技能外国人を受け入れる機関に求める基準の一つとして、「過去1年以内に、当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人を発生させていないこと」を挙げています(同庁Q&Aでは、派遣先に求める基準としても明記されています)。
つまり、受入れ機関の責めに帰すべき事由で行方不明者を出すと、その後1年間は新たな受入れの基準を満たさないことになります。今いる他の特定技能外国人の更新や、新しい人の受入れに影響が及び得る、ということです。
なお、受入れ企業が「認定」を受ける仕組みはなく、外国人本人の在留諸申請の審査の中で、受入れ企業が基準を満たしているかが審査されるとされています。
「責めに帰すべき事由」とは何か
入管庁は、登録支援機関の登録拒否事由(過去1年間にその者の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させている者)について、次のように説明しています。
実習実施者として技能実習生を、または受入れ機関として特定技能外国人を受け入れていたところ、賃金を払わなかったり、相談・苦情に適切に対応しなかったことなどの理由で技能実習生や特定技能外国人が行方不明となった場合、とされています。
行方不明になったこと自体ではなく、その原因が受入れ側にあるかどうかが問われる構造です。賃金の支払い、相談・苦情への対応。日頃の体制がそのまま問われます。
登録支援機関にも影響します。上の説明のとおり、自ら受入れ機関として行方不明者を発生させた者は、登録支援機関の登録を拒否される事由に当たります。
本人の在留はどうなるか
入管庁は、特定技能外国人が失業した場合について、すぐに帰国しなければならないわけではなく、就職活動を行うのであれば少なくとも在留期間内は在留することが可能としています。一方で、正当な理由なく3か月以上「特定技能」に係る在留活動を行っていない場合は、在留資格が取り消されることがあるとされています。
また、特定技能外国人は別の会社でアルバイトをすることはできません(同Q&A)。フルタイムで業務に従事することが求められ、一人が複数の企業で就労することもできないとされています。
防ぐために、日頃から整えておくこと
入管庁が挙げる例は、賃金の不払いと相談・苦情への不適切な対応でした。裏返せば、次の体制がそのまま予防になります。
- 報酬を雇用契約どおりに支払う。給与は口座振込が法令上の原則です(口座開設の支援)
- 定期面談を3か月に1回以上、本人と監督者の両方に行う(定期面談)
- 相談・苦情を受けたら、対応結果まで記録する
- 支援責任者・支援担当者を、外国人に対する指揮命令権のない中立な立場の人にする
支援責任者の「中立」には具体的な線引きがあります。入管庁は、外国人に対する指揮命令権を有しない者をいうとしたうえで、代表取締役や、外国人が所属する部署を監督する長など組織図上の縦のラインにある者は適格性がないとしています。役員の配偶者や2親等内の親族も適格性がないとされています。
さらに令和9年4月1日から、支援責任者等を事業所ごとに常勤の役職員から選任すること、支援責任者に養成講習の受講を義務付けることなど、支援体制の要件が改正されます。
まとめ
- 行方不明が判明したら、受入れ困難に係る届出(第3-4号)と状況説明書(第5-15号)を14日以内に
- 雇用契約の終了に関する届出より前に出す
- 過去1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由で行方不明者を発生させていないことが、受入れの基準
- 入管庁は例として賃金の不払い、相談・苦情への不適切な対応を挙げている
- 登録支援機関も、自ら行方不明者を発生させていれば登録拒否事由に当たる
- 本人は、正当な理由なく3か月以上活動していないと在留資格が取り消されることがある
- 予防は、報酬・定期面談・相談対応・中立な支援責任者。令和9年4月から支援体制の要件が改正される
本記事は確認日時点で入管庁が公表している内容の整理です。行方不明の経緯が「受入れ機関の責めに帰すべき事由」に当たるかどうかは、個別の事情で判断されます。届出の準備や、残る特定技能外国人の手続への影響については、状況を伺ったうえでお答えします。
令和9年4月からの支援体制の改正については特定技能の支援体制が2027年4月に変わるで整理しています。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q27・Q32・Q38・Q54・Q77・Q96・Q97)
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html - 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri10_00002.html