TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

外国人を雇う会社の方へ

不法就労助長罪とは──2027年4月から罰則が拘禁刑5年以下・罰金500万円以下に

根拠
入管法第73条の2・第76条の2
今の罰則
拘禁刑3年以下・罰金300万円以下
2027年4月1日から
拘禁刑5年以下・罰金500万円以下
確認日
2026年10月11日時点

この記事の要点

  • 不法就労助長罪は、働くことが認められていない外国人を働かせたり、支配下に置いたり、業としてあっせんしたりする罪
  • 罰則は、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(両方もあり)に引き上げ
  • 法人や個人事業主も罰金刑の対象になる。不法就労をさせた外国人の事業主は退去強制の対象にもなる

外国人を雇う会社がいちばん気をつけたい罰則が、不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2)です。働くことが認められていない外国人を働かせたり、認められた範囲を超えた仕事をさせたりすると、雇った側が罰せられます。2024年の入管法の改正で、この罪の罰則は拘禁刑3年以下・罰金300万円以下から、5年以下・500万円以下に引き上げられます。改正法は、一部の規定を除いて2027年4月1日に施行されます。

この記事では、入管法の条文と出入国在留管理庁(入管庁)の資料から、何をすると罪になるか、「知らなかった」では済まない場合、雇う前と雇ったあとに確かめることを整理します。

不法就労助長罪とは

入管法第73条の2第1項は、次のいずれかに当たる者を罰するとしています。

罪になる行為条文の言葉
働かせる事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者(第1号)
支配下に置く外国人に不法就労活動をさせるために、これを自己の支配下に置いた者(第2号)
あっせんする業として、外国人に不法就労活動をさせる行為や、第2号の行為に関しあっせんした者(第3号)

罰則は2027年4月1日から重くなる

時期罰則
今(確認日時点の条文)3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその両方
2027年4月1日から5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその両方

引上げは、育成就労制度をつくった改正法(令和6年法律第60号)の中に入っています。この改正法の施行日は、政令で2027年4月1日と決まっています。入管庁の改正法の概要でも、「不法就労助長罪の厳罰化」として、拘禁刑3年以下又は罰金300万円以下から5年以下又は500万円以下(併科可)に引き上げるとしています。同じ日に始まる育成就労については育成就労とはで整理しています。

会社も罰せられる

入管法第76条の2は、法人の代表者や従業員などが、法人又は人(個人事業主)の業務に関してこの罪を犯したとき、行為をした人を罰するほか、その法人や個人事業主にも罰金刑を科すとしています(両罰規定)。また、入管庁は、不法就労をさせたり、あっせんしたりした外国人の事業主は退去強制の対象になるとしています(入管法第24条第3号の4)。経営者自身の在留への影響は在留資格が不許可になったらで、入管庁が公表している事例を紹介しています。

「不法就労」とは──3つの型

入管庁は、不法就労を次の3つに分けて説明しています。

型例(入管庁の資料)
不法滞在者や、退去強制が決まっている人が働く密入国した人や、在留期限が切れた人が働く
許可を受けずに働く観光などの短期滞在で来た人や、留学生・難民認定申請中の人などが、許可を受けずに働く
認められた範囲を超えて働く外国料理のコックとして認められた人が工場で作業員として働く。留学生が許可された時間を超えて働く

見落としやすいのは3つ目です。就労ビザを持っている人でも、その在留資格で認められた仕事の範囲を超えて働かせれば不法就労になります。どの在留資格でどんな仕事ができるかは就労ビザとはで整理しています。

「知らなかった」では済まない場合

入管法第73条の2第2項は、働かせた側が次のことを知らなかったことを理由に、処罰を免れることはできないとしています。ただし、過失がないときはこの限りではありません。

  • その外国人の仕事が、在留資格で認められた活動に入っていないこと
  • その外国人が、資格外活動の許可(入管法第19条第2項)を受けていないこと
  • その外国人が、不法に入国した人や在留期限が切れた人など(入管法第70条第1項に挙げられた人のうち、第73条の2第2項第3号が定める人)であること

入管庁の資料は、「当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」としています。つまり、在留カードを見て確かめることが、会社を守る最初の手順です。

「本人が働けると言っていた」「前の会社でも働いていた」だけでは、過失がなかったとは言いにくくなります。採用の前に在留カードで就労制限と在留期限を確かめ、任せる仕事が在留資格の範囲に入っているかまで見ておくことが大切です。

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雇う前に確かめること

在留カードの表面「就労制限の有無」

表面の記載雇えるか(入管庁の資料)
就労不可原則として雇えない。ただし裏面の資格外活動許可欄に許可があれば、その範囲で働ける
在留資格に基づく就労活動のみ可その在留資格で認められた仕事に限って雇える。「特定技能」の場合は、指定書もあわせて確かめる
指定書により指定された就労活動のみ可在留資格「特定活動」の場合。指定書(旅券に添付されていることが多い)で、認められた仕事を確かめる
就労制限なし仕事の内容に制限はない。入管庁は、在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「永住者」であれば雇用できるとしている

資格外活動許可の記載

表面が「就労不可」でも、在留カードの資格外活動許可欄(従来の様式では裏面)に許可の記載があれば、その条件の範囲で働けます。入管庁の資料では、「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」とある場合、いくつかの仕事を掛け持ちしても合わせて週28時間以内でなければなりません(留学生は、学校の学則で定める長期休業期間中は1日8時間以内。入管法施行規則第19条第5項第1号)。「留学」「研修」「家族滞在」「文化活動」「短期滞在」の人は、資格外活動許可がない限り働けません(留学生の資格外活動許可、家族滞在で働くには)。

カードが本物か、失効していないか

  • 在留カード等読取アプリケーション:ICチップの情報を読み取り、券面と見比べて偽造・変造がないかを確かめる
  • 在留カード等番号失効情報照会:その番号が失効していないかを確かめる。入管庁は、アプリを使う場合はこちらもあわせて使うようお願いしています。ただし、照会の結果は在留カード自体の有効性を証明するものではありません

2026年6月14日から交付が始まった新様式の在留カードでも、就労制限の有無と資格外活動許可は券面に残っています。確かめ方は在留カードの新様式で整理しています。

在留カードがない場合

特別永住者を除き、在留カードを持っていない人は原則として働けません。ただし、旅券に在留カードを後日交付する旨の記載がある人、在留期間が3か月以下の人、「外交」「公用」の人などは、旅券などで働けるかを確かめます。

任せる仕事が在留資格の範囲に入っているか

就労ビザの人は、資格外活動許可を受けた場合を除き、在留資格で認められた仕事しかできません。転職してきた人なら、本人が就労資格証明書を申請し、今の在留資格でできる仕事を入管庁に証明してもらう方法があります(入管法第19条の2)。なお、同じ条文は、できる仕事が明らかな場合に、本人が就労資格証明書を提示・提出しないことを理由に不利益な扱いをしてはならないとしています。

雇ったあとも続けること

  • 在留期限の管理:期限が切れたまま働かせると、1つ目の型に当たります。在留期間が30日以下の人を除き、期限までに更新を申請していれば、結果が出るまで(最長で期限から2か月)引き続き在留できます(入管法第21条第4項・第20条第6項。在留期間の特例期間)。入管庁は、更新などを申請した在留カードの番号を失効情報照会で調べると、満了日を過ぎても「失効していません。」と表示され、申請中であることが分かるとしています
  • 配置換えのとき:仕事の内容が変わるときは、新しい仕事が在留資格の範囲に入っているかを確かめる
  • 外国人雇用状況の届出:外国人(特別永住者と「外交」「公用」を除く)を雇い入れたときと離職したときは、ハローワークに届け出ます。雇用保険の被保険者なら、雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から10日以内。被保険者でなければ、どちらも翌月末日まで。届け出なかったり、うその届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です

よくある質問

留学生のアルバイトが週28時間を超えてしまったら

入管庁は、留学生が許可された時間を超えて働くことを、「認められた範囲を超えて働く」不法就労の例に挙げています。掛け持ちしている場合は合計で数えるので、ほかのアルバイトの時間も確かめておく必要があります。夏休みなど学則で定める長期休業期間中は、1日8時間以内です(留学生の資格外活動許可)。

在留期限が過ぎているが、更新の申請中だと言われました

在留期間が30日以下の人を除き、期限までに更新を申請していれば、結果が出るまで(最長で期限から2か月)は今の在留資格のまま在留できます。更新などの申請をすると、その旨が在留カードに表示されます(入管法施行規則第19条の6第12項)。在留カードの番号を失効情報照会で調べると、申請中なら「失効していません。」と表示されます(照会の結果は、在留カード自体の有効性を証明するものではありません)。あわせて、本人に申請の受付票などを見せてもらうと、より確実です。

本人が就労ビザを持っていれば、どんな仕事でも大丈夫ですか

いいえ。就労ビザは在留資格ごとにできる仕事が決まっていて、範囲を超えて働かせると不法就労になります。表面が「就労制限なし」の人は、仕事の内容に制限はありません。入管庁は、在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「永住者」であれば雇用できるとしています。

まとめ

  • 不法就労助長罪は、働くことが認められていない外国人を働かせたり、支配下に置いたり、業としてあっせんしたりする罪
  • 罰則は、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(両方もあり)に引き上げ
  • 法人や個人事業主も罰金刑の対象になる。不法就労をさせた外国人の事業主は退去強制の対象にもなる
  • 不法就労には、不法滞在者が働く、許可を受けずに働く、認められた範囲を超えて働く、の3つの型がある
  • 「知らなかった」だけでは処罰を免れない。在留カードを確かめないなどの過失があれば罰せられる
  • 雇う前に、在留カードの就労制限・資格外活動許可・在留期限と、カードが本物かを確かめる
  • 雇ったあとも、在留期限の管理、配置換えの確認、ハローワークへの届出を続ける

本記事は確認日時点で入管法の条文と入管庁・厚生労働省が公表している資料の整理です。個別の雇用が不法就労に当たるかどうかは、在留資格と仕事の内容によって変わります。

この記事の根拠

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