TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」

留学ビザから就労ビザへの変更条件──研修はどこまで認められるか

根拠
出入国在留管理庁「在留資格『留学』から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ」/同「在留資格の明確化等について」(許可・不許可事例)
申請時期
4月からの就労を希望する場合、12月1日から1月末までの申請
対象
留学生を採用する企業、就職を予定している留学生
確認日
2026年9月11日時点

留学生を新卒で採用する場合、在留資格を「留学」から就労資格へ変更する手続きが必要です。内定を出せば自動的に働けるようになるわけではありません。この記事では、申請の時期と、審査で線が引かれる場所を、入管庁の公表内容から整理します。

4月就労なら、12月1日から1月末までに申請

入管庁は、4月からの就労を希望する場合には12月1日から1月末までの間に申請するよう求めています。理由として、例年1月から3月にかけて4月就労を目的とした申請が集中するため、提出書類がそろっていない場合や申請時期が遅れた場合、希望日までに審査が終了しない可能性があることを挙げています。

「留学」の在留期限が1月31日以前の方は注意。入管庁は、在留期限が1月31日以前で、同日以降も「留学」の活動を行う場合には、まず「留学」の在留期間更新許可申請を行う必要があるため、上記の期間に在留資格変更許可申請を行わないよう案内しています。ただし、申請先の地方入管から申請時期の案内がある場合は、そちらに従います。

2025年12月から、提出書類の省略ができる場合がある

企業側の負担に関わる変更です。入管庁は、2025年12月1日から、従来の所属機関のカテゴリーによる省略に加えて、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」又は「研究」への変更許可申請について、次のいずれかに該当する場合に提出書類の省略を認めるとしています(省略できる書類はカテゴリー2と同様)。

該当する場合内容
(1) 本邦の大学卒業(予定)者大学院及び短期大学卒業者を含む
(2) 海外の優秀大学卒業者3つの世界大学ランキングのうち2つ以上で上位300位にランクインしている外国の大学
(3) 受入実績のある機関で就労する場合「留学」から変更許可を受けた外国人が現に雇用され、かつ就労中に少なくとも1度の在留期間更新許可を受けている場合

省略を希望する場合は、入管庁が用意する「提出書類省略に関する説明書」を作成し、申請書に添付します。ただし派遣形態での雇用の場合は省略の対象外とされ、審査の状況により省略を認めた書類の提出を求められることもあります。

入管庁は、事実と異なる説明を行って書類の省略をした場合には虚偽の申請と判断される可能性があると注意しています。(3)は自社の過去の受入れ実績が条件になるため、該当するかどうかを社内で正確に確認してから使う必要があります。

線が引かれるのは「単純作業かどうか」

この在留資格に該当する活動は、法令上「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」と規定されています。

入管庁は、その前提として学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とする活動であって、単に経験を積んだことにより有している技術・知識では足りず、学問的・体系的な技術・知識を要するものでなければならないと説明しています。

入管庁が公表している不許可事例を見ると、線の位置がはっきりします。

  • マンガ・アニメーション科を卒業した者が、アニメ制作会社で主体的な創作活動を伴わない背景画の色付け作業等の補助業務にのみ従事するもの
  • デザイン科を卒業した者が、服飾業の会社で主体的な創作活動を伴わない裁断・縫製等の制作過程に従事するもの
  • デザイン科を卒業した者が、服飾業の会社の店舗で専ら接客・販売業務に従事するもの
  • 主に経理を学んで卒業した者が、衣料品販売店で専ら販売業務に従事するもの
  • 美容学科を卒業した者が、美容師やネイリストとして業務に従事するもの

同じ学歴でも、担当する業務が主体的・専門的かどうかで結論が変わっています。学校を出ていることではなく、実際に何をするのかが審査されています。

入社当初の研修は認められる。ただし期間による

新卒採用で必ず問題になるのが研修期間の扱いです。入管庁は、在留期間中の活動を全体として捉えて判断するとしたうえで、該当しない業務に一時的に従事する場合でも、それが企業における研修の一環であって、在留期間の大半を占めるようなものではない場合は、変更が許可されるケースがあると説明しています。

公表されている事例で、期間の目安が見えます。

結論事例の内容
許可入社当初の6月程度、背景の色付け等を指導を受けながら行い、その後は絵コンテの構成や原画作成といった主体的な創作活動に従事
許可海外広報業務の人材として採用後、国内の実店舗で3か月間の販売・接客の実地研修を行い、その後本社で海外広報業務に従事
許可海外展開業務の人材として採用後、本社で2か月の座学研修と実店舗での3か月の実地研修を行い、その後本社で海外展開業務に従事
不許可企画・マネジメント業務のためと申請したが、同じ業務の日本人は4か月で実地研修が終わるのに対し、当該外国人は店舗を替えながら1年間販売・接客をさせる計画であったことが判明
不許可3年間の滞在予定で海外展開業務を行うとして申請したが、入社後2年間は実地研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが判明

注目したいのは、不許可事例で日本人社員との比較が判断の材料になっている点です。日本人が4か月で終わる研修を外国人だけ1年間行う計画が問題視されています。研修を設けること自体ではなく、その外国人にだけ長い研修を課していないかが見られています。

入管庁は、こうしたケースについて当該企業に雇用される社員(日本人社員を含む)の入社後のキャリアステップ及び各段階における具体的職務内容等に係る資料の提出をお願いする場合があるとしています。研修を予定している場合、その資料を準備できるかが実務上の分かれ目になります。

資格外活動の超過は、素行として見られる

入管庁は、変更許可にあたり素行が善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されるとしています。その例として、資格外活動許可の条件に違反して恒常的に1週について28時間を超えてアルバイトに従事しているような場合を挙げています。

あわせて、在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による再交付申請、返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要とされています。

週28時間の考え方は留学生の資格外活動許可で整理しています。

申請後の流れで気をつけること

窓口申請の場合、審査終了後にその旨を通知するはがきが地方入管から送付されます。入管庁は、この通知が「留学」の活動が終了する時期の前に届くことがあるが、「留学」の活動終了後(卒業証明書を受け取った後)に必要書類を持参して在留カードを受け取るよう案内しています。日付と時間を指定して来庁を求める連絡があった場合は、その時間に行きます。

なお入管庁は、個別の申請に関する審査の進捗状況は問い合わせても回答できないとし、進捗確認の電話を控えるよう求めています。

まとめ

  • 4月就労なら12月1日から1月末までに申請。在留期限が1月31日以前なら先に「留学」の更新が必要
  • 2025年12月1日から提出書類の省略が可能な場合がある(大学卒業者、海外優秀大学卒業者、受入実績のある機関)。派遣形態は対象外
  • 審査されるのは学歴だけでなく実際の業務内容。専ら接客・販売、補助業務のみは不許可事例として公表されている
  • 入社当初の研修は認められるが、在留期間の大半を占めると不許可。日本人社員との比較も見られる
  • 資格外活動の週28時間超過は消極的な要素として評価される

本記事は確認日時点で入管庁が公表している内容の整理であり、個別の申請の結果を保証するものではありません。カテゴリーごとの提出書類は技人国の申請で最初に決まる「カテゴリー」で整理しています。

この記事の根拠

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