在留資格「経営・管理」
経営・管理ビザを新しく取るには何が必要か──資本金3,000万円時代の会社設立と申請準備
公開 2026.08.11 / 最終確認 2026.09.12
- 根拠
- 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の一部改正(在留資格「経営・管理」)
- 施行日
- 2025年10月16日
- 対象
- これから経営・管理の在留資格を取得する方(新規の認定・変更申請)
- 確認日
- 2026年8月11日時点の公表資料により確認
経営・管理の基準改正について、「3年の経過措置がある」という話を聞いた方が多いと思います。ただ、その経過措置は、すでに経営・管理で在留している方の更新申請にしか適用されません。これから取得する方には猶予がなく、最初から新しい基準を満たす必要があります。
すでに経営・管理で在留していて、更新の際にどう扱われるかを知りたい方は、経営・管理ビザの更新はいつから新基準になるのかをご覧ください。
ここを取り違えたまま会社設立を進めてしまうと、資本金を500万円で登記したあとに要件不足が判明する、という事態になります。増資は登記のやり直しになりますし、資金の出所を改めて説明する負担も生じます。この記事では、新規で取得する場合に必要になる要件と、準備の順番を整理します。
新規申請で必要になる5つの要件
改正前は「資本金500万円以上」か「常勤職員2名以上」のどちらかを満たせばよい選択制でした。改正後は選択制が廃止され、次の5点がすべて求められます。
「500万円」はどこから来た数字か。この金額は法律の条文ではなく、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(上陸基準省令)の「経営・管理」の項に定められていた基準です。省令は法務省令なので、国会の法改正を経ずに改正されます。今回の改正もこの省令の一部改正として行われ、2025年10月16日に施行されました。
現在、上陸基準省令の第2号ロは「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」と定めています。500万円は現行の基準ではありません。検索や書籍で500万円と書かれた情報を見かけた場合は、改正前のものである可能性があります。
| 項目 | 改正前 | 2025年10月16日以降 |
|---|---|---|
| 資本金等 | 500万円以上 | 3,000万円以上 |
| 常勤職員 | 2名以上(資本金との選択制) | 1名以上(資本金と両方必須) |
| 日本語能力 | 要件なし | 申請人または常勤職員のいずれか1名がB2相当以上 |
| 経歴 | 要件なし | 3年以上の経営・管理の経験、または経営に関する修士等 |
| 事業計画 | 提出は任意 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士等の確認が必要 |
あわせて、事業所についても独立した区画の確保が求められます。従来は問題視されにくかった自宅兼事務所は原則として認められない方向にあり、バーチャルオフィスや実態のないレンタルスペースは不許可のリスクが高いと考えられます。
準備の順番を間違えない
要件を並べると資本金に目が行きますが、着手すべき順番は違います。先に決めるべきは、日本語要件と常勤職員です。
1. 日本語要件を誰が満たすかを決める
求められているのは、申請人または常勤職員のうちいずれか1名がB2相当以上であることです。申請人本人が日本語を得意としない場合でも、要件を満たす常勤職員を雇用すれば対応できます。
証明方法は次のいずれかです。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上
- 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
- 日本の大学等の高等教育機関の卒業
- 日本の義務教育を修了し、かつ高等学校を卒業していること
日本人や特別永住者を雇用する場合は、それ自体で足ります。常勤職員1名の雇用が必須になったため、この2つの要件は一度に処理できます。採用をこれから行うなら、日本語要件を満たす方を1名採ることで、雇用と語学の両方が片付きます。
2. 資本金の出所を説明できる形にする
3,000万円という金額そのものより、審査で問われるのはその資金がどこから来たかです。海外からの送金であれば送金記録、親族からの援助であれば贈与や借入の契約書と、その親族側の資金の裏付けまで求められることがあります。
登記だけ済ませて実体のない資本金は、当然ながら認められません。会社設立を急ぐより、資金の流れを記録に残せる形で動かすことのほうが重要です。
3. 事業計画は専門家の確認まで含めて時間を見る
事業計画書は以前から実務上作成していたものですが、改正後は中小企業診断士・公認会計士・税理士といった専門家による確認が求められます。依頼先を探す時間と、確認に耐える内容――売上の根拠、コストの仮説、月次の資金繰り――を作り込む時間が必要です。申請の直前に着手して間に合う性質のものではありません。
4. 事業所を確保する
賃貸借契約は、事業用として結ぶ必要があります。居住用契約のまま事務所として使っている状態は、契約違反であると同時に、在留資格の審査でも問題になります。物件を探す段階から、用途を明確にして契約してください。
実務上の注意:会社設立の登記を先に済ませてしまうと、あとから要件を満たすための修正が登記のやり直しになります。資本金の額と役員構成は、要件を確認してから決めてください。特に資本金は、設立時に3,000万円で登記するのと、あとから増資するのとでは、手間も費用も大きく変わります。
永住申請への影響
見落とされやすい点として、この改正は永住許可申請にも波及します。施行日以降、改正後の許可基準に適合していない場合、経営・管理からの永住許可申請や、高度専門職2号への変更が認められなくなる取扱いとされています。
経営・管理で在留を続けて、いずれ永住を目指す方にとっては、新基準への適合が永住申請の前提条件になったということです。長期的な設計を考えるうえで、押さえておくべき変更点です。
その永住許可そのものについても、2026年8月にガイドラインの改定案が公表されています。詳しくは永住許可の基準はどう変わるのかで整理しました。
横浜で会社を設立して取得する場合の順番と逆算については、横浜で経営・管理ビザを取るにはで整理しています。
家族滞在の資格外活動許可で個人事業として活動している方が、法人設立や従業員の雇用に進む場合も、経営・管理への変更が必要になります。家族滞在で働くときの資格外活動許可もあわせてご覧ください。
会社設立後、外国人を雇用する段階になったときの届出義務については特定技能の届出は誰が出すのかで整理しています。
まとめ
- 3年の経過措置は既存の在留者の更新のみが対象で、新規取得には適用されない
- 資本金等3,000万円と常勤職員1名以上が両方必要
- 日本語B2相当は本人でなく常勤職員が満たしてもよく、雇用要件と同時に処理できる
- 資本金は金額より出所の説明が問われる
- 事業計画の専門家確認と事業所の確保は、会社設立より前に見通しを立てる
- 新基準に適合していないと、経営・管理からの永住申請に影響する
本記事は確認日時点の一般的な整理であり、個別の申請の結果を保証するものではありません。ご自身のケースについては、資料を拝見したうえでお答えします。
海外にお住まいのまま日本で起業する場合は、海外にいながら日本で起業して経営・管理ビザを取るで認定証明書ルートの段取りを整理しています。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html - 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について(令和7年10月16日施行)」(PDF)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf