TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留資格「経営・管理」

海外にいながら日本で起業して経営・管理ビザを取る──認定証明書ルートの実務

根拠
出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」提出書類一覧/同「『経営・管理』の在留資格の明確化等について」(令和8年6月改訂)
手続
在留資格認定証明書交付申請(海外から新たに入国する場合)
注意
2025年10月16日施行の改正基準が適用。新規取得に経過措置はありません
確認日
2026年9月12日時点

日本に住んでいない状態から、日本で会社を立ち上げて経営・管理の在留資格を取得したい。このとき使うのが在留資格認定証明書交付申請です。すでに日本にいる方が行う在留資格変更とは、必要な段取りが変わります。

この記事では、入管庁が公表している提出書類の一覧とガイドラインから、国外にいる段階で何を準備することになるのかを整理します。

まず前提の確認を。2025年10月16日施行の改正で、経営・管理の基準は資本金等3,000万円以上、常勤職員1名以上などに変わりました。経過措置はすでに在留している方の更新にしか適用されず、これから取得する方は最初から新しい基準を満たす必要があります。要件の全体像は経営・管理ビザを新しく取るには何が必要かで整理しています。

登記が終わっていなくても申請できる

海外にいる方が最初に突き当たるのが「会社を作ってからでないと申請できないのか」という問題です。入管庁の提出書類一覧は、事業内容を明らかにする資料として次のように示しています。

当該事業を法人において行う場合には当該法人の登記事項証明書の写し、そして括弧書きで法人の登記が完了していないときは、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写しとされています。

つまり登記完了前でも、定款等で申請することが想定されています。なお同じ箇所には、本邦において法人を設立する場合と、外国法人の支店を本邦に設置する場合との別を問わないとの注記があります。日本法人を作るか、本国法人の支店を置くか、どちらのルートでも同じ枠組みで扱われます。

事業所の確保──国外からどう満たすか

提出書類には事務所用施設の存在を明らかにする資料(不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、その他の資料)が挙げられています。日本にいない状態で物件を借りることになるため、ここが実務上の山場になります。

入管庁の「明確化等について」は、事業所の判断について総務省の日本標準産業分類を引き、次の2点を満たす必要があるとしています。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること
  • 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること

そのうえで、事業が継続的に運営されることが求められることから、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、上陸基準省令の要件に適合しているとは認められないと明記されています。

賃貸借契約の中身も見られます。同資料は、事業所が賃貸物件であることが一般的であるとしたうえで、賃貸借契約においてその使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要としています。個人名義で借りたままだと、この点で説明が必要になります。

なお、インキュベーター(経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、JETRO対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、事業所の確保の要件に適合しているものとして取り扱うとされています。国外から立ち上げる場合に検討できる選択肢です。

本人が国内にいなくても手続きを進める仕組み

入管庁の提出書類一覧には、申請書類を提出する方の確認のため、次の提示を求める旨が記載されています。

  • 身分を証する文書(会社の身分証明書等)の提示
  • 本邦事業所の設置について委託されていることが分かるもの(当該委託に係る契約書等)の提示

2つ目について入管庁は、本邦に新たに事業所を設置する場合であって、事業所の経営者又は管理者が不在の間の事業所設置業務全般を任されている方が該当すると説明しており、あわせて1つ目の提示も必要としています。海外にいる経営者に代わって日本側で事業所設置を進める体制が、制度上想定されているということです。

なお、この書類は受付時に写しを作成するとされており、提出用のコピーを用意しておくと受付時の待ち時間の短縮になると案内されています。

日本語能力を明らかにする資料

改正で加わった項目です。提出書類には日本語能力を明らかにする資料として、申請に当たっての説明書(参考様式)、日本語能力を有する者(申請人を除く)の住民票、経営者又は常勤の職員が日本語能力を有することを証する資料(試験の合格証・成績証明書、又は卒業証明書等)が挙げられています。日本語能力を有する者が常勤の職員である場合は、その職員に係る賃金支払に関する文書も求められます。

条文上は経営者又は常勤の職員とされており、申請人本人以外の人物で満たす形も想定されています。国外から起業する場合、日本語を担える人材をどう確保するかが準備項目のひとつになります。

経歴を明らかにする資料

提出書類には、経歴を明らかにする資料として次のいずれかが挙げられています。

  • 学歴による証明:経営管理に関する分野又は申請に係る事業に関連する分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位を有していることを証する文書
  • 職歴による証明:関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書と、従事した期間を証する文書(在職証明書等)

翻訳について、実務上ありがたい取扱いがあります。入管庁は、提出書類が外国語の場合は訳文の添付を求める一方、在職証明書(A4用紙1枚程度)と学位証明書(A4用紙1枚程度)については、英語で作成されたものであれば原則として訳文の添付は不要としています。ただし特に専門的な用語・表現が使用されている場合は後日訳文の提出を求めることとなるため、申請時に添付することを推奨するとされています。

令和8年4月15日以降の追加書類

入管庁は、令和8年4月15日以降の申請から、カテゴリー3又は4に該当する場合、所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)を追加で提出する必要があるとしています。注記では、事業の管理に従事する場合に添付とされています。

新しく設立した会社は、前年分の法定調書合計表がないためカテゴリー4に該当することが一般的です。国外から起業するケースでは、この追加書類が関係してくる可能性が高い項目です。

そのほか、提出書類として挙げられているもの

区分内容
申請書・写真在留資格認定証明書交付申請書1通、写真1葉
返信用封筒定形封筒に宛先を明記し、簡易書留用の郵便切手を貼付したもの1通
活動の内容役員就任なら役員報酬を定める定款の写し又は株主総会議事録の写し等
事業計画書経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価を受けたものの写し1通
許認可申請に当たっての説明書(参考様式)と、許可書等の写し
事業規模常勤の職員が一人以上であることを明らかにする賃金支払に関する文書及び住民票その他の資料、貸借対照表、登記事項証明書
決算直近の年度の決算文書の写し1通

入管庁は、日本で発行される証明書は全て発行日から3か月以内のものを提出すること、提出書類が揃っていない申請の場合、大幅に審査が遅れる、または不利益処分となり得ることを案内しています。国外から書類を集める場合、有効期限の管理が実務上の論点になります。

入国後にすること

認定証明書が交付されたら、在外公館で査証の発給を受けて入国します。証明書には有効期間があり、交付の日から3か月以内に上陸申請をしないと効力を失います。

入国後は、住居地を定めたときの届出が必要です。その後の更新では、事業の継続性や公租公課の履行状況が確認されます。設立時の設計が、次の更新に影響します。

まとめ

  • 海外から取得するルートは在留資格認定証明書交付申請。新規取得に経過措置はなく、改正後の基準が適用される
  • 登記完了前でも定款等で申請できることが提出書類上想定されている。日本法人か外国法人の支店かは問わない
  • 事業所は月単位の短期賃貸スペースや容易に処分可能な屋台等では不可。賃貸借契約の使用目的と名義を法人にする。インキュベーションオフィス等は一定の条件で認められる
  • 本人不在の間、事業所設置業務を委託されている方が手続きを進める枠組みがある
  • 日本語能力を明らかにする資料は経営者又は常勤の職員で満たす形も想定されている
  • 令和8年4月15日以降、カテゴリー3・4は所属機関の代表者に関する申告書が追加

本記事は確認日時点で入管庁が公表している内容の整理であり、個別の申請の結果を保証するものではありません。会社設立の登記手続きそのものは司法書士の業務範囲となる部分がありますので、必要に応じて連携してご案内します。

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