在留資格「経営・管理」
横浜で経営・管理ビザを取るには──会社設立から申請までの順番と、逆算のしかた
公開 2026.08.23 / 最終確認 2026.08.23
- 根拠
- 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の一部改正、出入国在留管理庁の公表内容
- 施行日
- 新基準は2025年10月16日施行
- 対象
- 横浜市・神奈川県内で会社を設立し、経営・管理の在留資格を取得しようとする方
- 確認日
- 2026年8月23日時点
経営・管理の在留資格を取る手続き自体は全国共通です。ただ、実際に動くとなると、どこに事業所を構えるか、どこに登記するか、どこの入管に出すかという地元の話になります。
この記事では、2025年10月16日施行の新基準を前提に、横浜で進める場合の順番と、審査期間からの逆算のしかたを整理します。
まず、動く順番を間違えないこと
気をつけたいのが、会社の設立登記を済ませてから在留資格の要件を確認するという順番です。資本金の額も役員構成も登記事項なので、あとから変えるには登記のやり直しになります。特に資本金は、設立時に必要額で登記するのと、あとから増資するのとでは手間も費用もまったく違います。
正しい順番はこうです。
| 順番 | やること | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 1 | 要件の確認と、満たし方の設計 | 1〜2週間 |
| 2 | 事業所の確保(賃貸借契約) | 1か月前後 |
| 3 | 定款の作成・認証、設立登記 | 2〜3週間 |
| 4 | 事業計画の作成と専門家の確認 | 数週間〜 |
| 5 | 入管への申請 | 審査に5〜6か月程度 |
期間はあくまで目安で、事案によって変わります。ただ全体としては、動き出してから在留資格が下りるまで半年から1年近くを見ておくことになります。
1. 要件の確認
2025年10月16日以降、経営・管理の基準は次のとおりです。改正前の「資本金500万円以上か常勤職員2名以上のいずれか」という選択制は廃止されました。
- 資本金または出資の総額が3,000万円以上
- 常勤職員1名以上の雇用(資本金と両方必要)
- 申請人または常勤職員のいずれか1名がCEFR B2相当以上の日本語能力
- 3年以上の経営・管理の経験、または経営に関する修士等
- 中小企業診断士・公認会計士・税理士等の確認を受けた事業計画
- 独立した事業所の確保
詳しくは経営・管理ビザを新しく取るには何が必要かで整理しています。すでに経営・管理で在留していて更新を控えている方は、経営・管理ビザの更新はいつから新基準になるのかをご覧ください。3年の経過措置は既存の在留者の更新にのみ適用され、新規取得には適用されません。
2. 横浜のどこに事業所を構えるか
改正後は独立した事業所の確保が求められます。物件選びの段階で条件が決まるので、契約する前に確認しておきたい部分です。
選んではいけない形:バーチャルオフィス(住所貸しのみ)や、実態のないレンタルスペースは、事業所として認められない可能性が高いと考えられます。また、居住用として借りている自宅をそのまま事務所とする形も、賃貸借契約の用途違反になるうえ、審査でも問題になります。
横浜駅周辺、みなとみらい、関内、新横浜には賃貸オフィスもレンタルオフィスも多数あります。ただし「登記できるか」と「事業所として認められるか」は別の話です。登記だけ可能な住所貸しサービスも存在するため、契約前に用途を確認してください。
物件を選ぶときに押さえる点は3つです。事業用として賃貸借契約が結べること。専用の区画があり、扉や表札で他社と区別できること。契約書上の使用目的が事業に対応していること。内見の段階から、この3つを念頭に置いて見てください。
3. 会社設立(ここは役割分担があります)
会社の設立には、大きく分けて定款の作成・認証と、設立登記の申請があります。この2つは担当できる資格者が違います。
| 手続き | 誰が行えるか |
|---|---|
| 定款の作成・認証 | 本人、または行政書士 |
| 設立登記の申請 | 本人、または司法書士 |
行政書士は登記申請の代理をすることができません。当事務所では定款の作成と認証手続きまでをお受けし、登記については提携する司法書士をご紹介するか、ご本人で申請していただく形になります。「会社設立からビザまで全部お任せ」と一言で言っても、内部では複数の資格者が分担しています。ここを曖昧にする事務所もありますが、法律上の役割分担は決まっています。
定款認証はどこで受けるか
株式会社の場合、定款は公証役場で認証を受けます。公証人法により、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人が取り扱うこととされています。
神奈川県全体が横浜地方法務局の管轄区域なので、本店を神奈川県内に置くのであれば、県内の公証役場であればどこでも認証を受けられます。横浜、川崎、横須賀、藤沢、小田原などが選べます。逆に、東京都内など他都府県の公証役場では認証を受けられません。
設立登記はどこに出すか
設立登記は本店所在地を管轄する法務局へ申請します。神奈川県内の商業・法人登記は集約が進んでおり、現在は2か所のみです。
| 本店所在地 | 申請先 |
|---|---|
| 横浜市、川崎市、横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町 | 横浜地方法務局 本局(横浜市中区北仲通5-57 横浜第2合同庁舎) |
| 上記以外の神奈川県内(相模原市、藤沢市、厚木市、大和市、小田原市、平塚市、茅ヶ崎市ほか) | 横浜地方法務局 湘南支局(藤沢市辻堂神台) |
注意したいのは、横浜市内の各出張所(港北、戸塚など)や川崎支局では、商業・法人登記の申請受付を行っていないことです。近いからと最寄りの出張所へ持ち込んでも受け付けてもらえません。横浜市内・川崎市内に会社をつくる場合は、中区北仲通の本局が窓口になります。
4. 資本金は「額」より「出所」
3,000万円という金額に目が行きますが、審査でより問われるのはその資金がどこから来たかです。
- 海外からの送金であれば、送金の記録
- 親族からの援助であれば、贈与や借入の契約書と、その親族側の資金の裏付け
- 自己資金であれば、それが形成された経緯
一時的に借りて見せ金にする、といった形は当然認められません。資金の流れが記録に残る形で動かすことが、そのまま立証資料になります。会社設立を急ぐより、この記録づくりを先に意識してください。
5. 事業計画は専門家の確認まで含めて時間を見る
改正後は、中小企業診断士・公認会計士・税理士といった専門家の確認を受けた事業計画が求められます。
事業計画書そのものは以前から実務上作成していたものですが、確認してくれる専門家を探すところから始まります。そして確認に耐える内容──売上の根拠、コストの仮説、月次の資金繰り──を作り込む必要があります。申請の直前に着手して間に合う性質のものではありません。
6. 申請先は横浜支局か川崎出張所
在留資格認定証明書交付申請は、原則として申請代理人となる受入れ機関の所在地を管轄する官署で手続きします。横浜市内に会社を設立するのであれば、東京出入国在留管理局横浜支局(金沢区鳥浜町)か、その川崎出張所(川崎市麻生区)です。神奈川県内であれば、どちらでも申請できます。
庁舎の場所、行き方、受付時間は横浜入管はどこに行けばいいかで整理しています。
逆算のしかた
入管庁は在留審査処理期間を毎月公表しています。経営・管理の在留資格認定証明書交付申請は、他の在留資格と比べて審査に時間がかかる部類です。公表値では5〜6か月程度を要しています。
ここから逆算すると、たとえば来年4月に事業を開始したい場合、次のような組み立てになります。
- 4月の事業開始を目標にするなら、遅くとも前年の9〜10月には申請していたい
- 申請までに、事業所の確保・会社設立・事業計画の専門家確認が終わっている必要がある
- それらに2〜3か月かかるとすると、着手は前年の6〜7月
つまり、事業開始の9〜10か月前から動き出すのが現実的な線です。「会社をつくってから考える」では、この逆算が成り立ちません。
横浜という土地について
横浜駅周辺と新横浜は交通の便がよく、都内からのアクセスも良好です。関内・みなとみらい地区にはオフィス物件が集積しています。事業の内容によっては、都内より賃料を抑えつつ立地を確保できる場合があります。
ただし在留資格の審査は、所在地の知名度で有利になるものではありません。見られるのは事業の実体です。横浜に構えること自体が加点になるわけではないので、賃料や通勤の便といった経営上の合理性で判断してください。
まとめ
- 登記を先に済ませると、資本金の変更が登記のやり直しになる。要件の確認が先
- 事業所はバーチャルオフィス不可。専用区画と事業用の賃貸借契約が要る
- 定款作成は行政書士、登記申請は司法書士か本人という役割分担がある
- 定款認証は神奈川県内の公証役場ならどこでも可。登記は横浜市・川崎市なら本局、それ以外は湘南支局
- 資本金は額より出所の説明が問われる
- 事業計画の専門家確認は、依頼先の確保から時間がかかる
- 申請先は横浜支局か川崎出張所。神奈川県内ならどちらでもよい
- 審査に5〜6か月。事業開始の9〜10か月前から着手する
要件を満たせるかの見立てだけでもお受けしています。会社設立の前にご相談いただければ、あとからの増資や登記のやり直しを避けられます。
本記事は確認日時点の一般的な整理であり、個別の申請の結果を保証するものではありません。ご自身のケースについては、資料を拝見したうえでお答えします。
この記事の根拠
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html - 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html - 出入国在留管理庁「横浜支局」
https://www.moj.go.jp/isa/about/region/yokohama/index.html - 横浜地方法務局「管轄のご案内(商業・法人登記)」
https://houmukyoku.moj.go.jp/yokohama/static/click_map02.html