TNG横浜国際行政書士オフィス在留資格の実務メモ

在留資格「特定技能」

特定技能の定期届出、入管庁が挙げている4つの誤り──別紙2の提出漏れと、オンラインでないと書類を省略できないこと

根拠
出入国在留管理庁「定期届出でよくある誤り集」(2026年5月8日公開)
対象
特定技能所属機関(特定技能外国人を受け入れている企業・個人事業主)
提出期限
対象期間の翌年5月31日まで(5月31日が土日祝日の場合は翌開庁日)
確認日
2026年8月27日時点

出入国在留管理庁が「定期届出でよくある誤り集」という資料を公開しています。定期届出は令和8年4月1日からルールが変わり、四半期ごとから年1回になりました。届出の全体像は特定技能の届出は誰が出すのかで整理していますので、この記事では誤り集の内容だけを扱います。

挙げられているのは4つです。以下は、この資料に記載されている内容の整理であり、当事務所が観察した傾向ではありません。

1 参考様式第3-6号(別紙2)の提出漏れ

誤り集で唯一、「提出漏れが多くなっています」と名指しされている項目です。

この資料によれば、参考様式第3-6号(別紙2)は、複数の登録支援機関に支援を全部委託している場合に提出が必要とされています。そして、全部委託をしているすべての登録支援機関の署名を記載して提出することとされています。

一方、入管庁の届出ページには、オンラインによる定期届出以外の場合で、特定技能所属機関が1つの登録支援機関に支援の全部を委託している場合、別紙2の提出は不要と記載されています。

この「オンライン以外の場合で」という限定には理由があります。入管庁の提出資料一覧表は、別紙2の備考欄で、複数の登録支援機関に全部委託している場合に提出することとしたうえで、電子届出システムを利用して届出を行う場合は、支援の全部を委託しているすべての登録支援機関の署名を受けて提出することとしています。

整理すると、次のようになります。持参・郵送で、1つの登録支援機関に全部委託している場合は、別紙2の提出が不要です。これに対して、電子届出システムを利用する場合は、委託先が1社であっても別紙2を提出することとされています。オンラインのほうが提出書類が減る、と考えていると行き違いが生じる部分です。

なお、年度の途中で登録支援機関を変更した場合、対象期間内に複数の機関が関与していたことになります。届出の時点で1社としか契約していなくても、対象期間を通して見る必要があります。

提出方法委託先が1社委託先が複数
持参・郵送別紙2は不要別紙2が必要
電子届出システム別紙2が必要別紙2が必要

いずれの場合も、全部委託をしているすべての登録支援機関の署名を記載して提出することとされています。

2 登録支援機関は定期届出を行うことができない

誤り集は、定期届出ができるのは特定技能所属機関のみとしています。そのうえで、登録支援機関に支援を委託していても、定期届出は特定技能所属機関、つまり外国人を受け入れている会社等が行う必要があるとしています。

随時届出についても、入管庁は登録支援機関が届出を行うことはできないと明記しています。定期・随時のいずれについても、届出の名義は受入れ企業から動きません。

3 郵送や窓口だと、提出書類の省略ができない

誤り集は、定期届出における提出書類の省略は、オンラインで定期届出を行う場合にのみ認められているとしています。郵送や窓口で行う場合、提出書類の省略はできません。

提出方法の選択が、そのまま用意する書類の量に関わってくる部分です。

4 利用者登録で「特定技能所属機関」にチェックが入っていない

これは制度の話ではなく、システムの操作に関する項目です。

誤り集は、利用者登録時に「特定技能所属機関」の欄にチェックがされていない場合、特定技能制度の定期届出を行う際に電子届出システムにログインできないとしています。オンラインで届出を行うための手続きについては、入管庁が解説動画を公開しています。

提出期限の直前にログインできないことに気づくと、そこから利用者登録をやり直すことになります。オンラインで提出する予定であれば、登録の内容を先に確認しておける項目です。

利用者登録は、オンラインで完結するようになった

これから電子届出を始める企業に関わる変更です。以前は利用者情報登録の届出書を地方入管に提出する方式でしたが、入管庁は現在、所属機関等は利用者登録・利用申出(新規登録)をオンラインで行えると案内しています。書面の「電子届出システム利用申出書」(別記第9号様式)は、諸事情によりオンラインで行えない場合の方法として位置づけられています。

書面で登録すると、利用者IDを忘れたときに確認できません。入管庁は、別記第9号様式の提出による新規登録の場合、利用者IDを忘れるとシステム上で確認することはできないとしています。その場合は「電子届出システム利用者ID確認申出書」(別記第12号様式)を作成して地方入管に提出することになります。特段の事情がなければ、オンラインで登録しておくほうが後の手間が減ります。

登録の手順は2段階です。利用者登録がログインに必要な利用者IDを取得する手続き、利用申出がログイン後に各届出を行えるようにする手続きです。利用申出では「新たに所属機関による届出、特定技能所属機関・登録支援機関の届出、日本語教育機関の告示基準に基づく報告の実施を希望する所属機関等の方」を選びます。

在留諸申請用の利用申出とは別です。操作マニュアルは、利用者区分が所属機関職員の場合、届出を行うための利用者IDと在留諸申請を行うための利用者IDは別であるとしています。また、在留申請オンラインシステムで使用する利用者ID・パスワードでは電子届出システムにログインできないとされています。先の「4」のチェック漏れと並んで、提出直前に気づきやすい箇所です。

すでにIDを持っている場合の扱いも案内されています。2025年12月31日までに電子届出システムの認証IDを取得していた方は、これまでの認証IDとパスワードでログインして届出ができます。在留申請オンラインシステムの認証IDを持っている方は、そのIDで申請と届出ができます。両方を持っている場合は、在留申請オンラインシステムのIDでログインします。

入管庁は、特定技能所属機関向けに「利用者登録・利用申出の解説」「定期届出の概要」「定期届出の入力方法の解説」の解説動画を公開しているほか、システム操作に関するヘルプデスク(平日9時〜17時)を設けています。

提出書類の省略に必要な「一定の基準」

誤り集は、添付書類の省略は特定技能所属機関が「一定の基準」を満たす場合にのみ認められるとしたうえで、その内容を挙げています。1から3をすべて満たす必要があります。

要件内容
1過去3年間に指導勧告書の交付または改善命令処分を受けていないこと
2在留諸申請と各種届出をオンラインで行うこと
3下の①から⑥のいずれかに該当すること

3の①から⑥は次のとおりです。

区分該当する機関
①日本の証券取引所に上場している企業
②保険業を営む相互会社
③高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)
④一定の条件を満たす企業等(条件の詳細は入管庁の案内に記載)
⑤前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
⑥特定技能所属機関として3年間の継続した受入れ実績を有し、過去3年間に債務超過となっていない法人

①から③および⑤は、企業の規模や区分で決まる要件です。⑥は、特定技能の受入れを3年間続けていて債務超過でない法人という書き方になっており、上場や税額の要件とは性質が異なります。自社がどれに当たるかを確認する際は、①から⑥を順に見ていくことになります。

ここで2の要件に注意が必要です。在留諸申請と各種届出をオンラインで行うことが、省略の前提に置かれています。3のいずれかに該当していても、提出方法が郵送や窓口であれば、省略の対象にはなりません。

定期届出そのものの日程

誤り集の内容ではありませんが、前提として確認しておく部分です。

項目内容
対象期間4月1日から翌年3月31日
提出期間翌年5月31日まで(5月31日が土日祝日の場合は翌開庁日)
届出者特定技能所属機関

提出資料一覧表は、対象期間中に1日でも在留資格「特定技能」を有する外国人と雇用契約関係があった場合、提出期間内に提出が必要としています。実際の就労がない場合でも定期届出は必要とされています。また、届出書は事業所単位ではなく、法人の場合は本店・本社が1部、個人事業主の場合は事業主が1部を提出することとされています。

入管庁は、四半期に1度の定期届出の提出は2025年4月15日までに提出するもので最後とし、次回の定期届出の提出は2026年4月以降となり、以後1年に1回になるとしています。年1回になってからの提出は、まだ回数を重ねていない段階です。

受入れ企業の費用面では、在留期間更新の手数料が2026年10月1日から段階制に変わります。手数料改定の金額表もあわせてご確認ください。

届出書そのものの書き方については、入管庁が作成要領を公表しています。受入れ・活動・支援実施状況に係る届出の書き方で整理しています。

まとめ

  • 入管庁が誤り集で挙げているのは4項目。うち「提出漏れが多くなっています」と名指しされているのは参考様式第3-6号(別紙2)
  • 別紙2は、複数の登録支援機関に全部委託している場合に必要。加えて、電子届出システムを利用する場合は委託先が1社でも必要
  • 定期届出ができるのは特定技能所属機関のみ。登録支援機関は行うことができない
  • 提出書類の省略は、オンラインで定期届出を行う場合にのみ認められる
  • 省略には「一定の基準」の1から3をすべて満たす必要がある
  • 利用者登録で「特定技能所属機関」にチェックがないと、電子届出システムにログインできない
  • 対象期間中に1日でも雇用契約関係があれば、実際の就労がなくても定期届出が必要
  • 利用者登録・利用申出はオンラインで完結できる。書面(別記第9号様式)はオンラインで行えない場合の方法で、利用者IDを忘れてもシステム上で確認できない
  • 届出用の利用者IDと在留諸申請用の利用者IDは別。在留申請オンラインシステムのIDでは電子届出システムにログインできない

本記事は確認日時点で公表されている資料の整理です。自社がどの書類を提出することになるかは、委託先の数、提出方法、「一定の基準」への該当の有無によって変わります。提出書類一覧および参考様式は入管庁の案内をご確認ください。判断に迷われる場合は、状況を伺ったうえでお答えします。

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